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NVIDIAが59ドルのJetson Nano 2GB Kitをリリース、AI開発をより身近なものに

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原文(投稿日:2020/10/17)へのリンク

NVIDIAは先日、Jetson Nano 2GB developer kitを公開した。59ドルのキットには、クアッドコアARM CPUと128コアMaxwell GPUを搭載した、クレジットカードサイズのシングルボードコンピュータが含まれている。Ubuntu Linuxベースの開発者SDKであるJetPack SDK、包括的なドキュメントも添付される。オンライントレーニングと認証も含まれているので、学生やAIプログラミングを始めたばかりの開発者には理想的な開発者キットになっている。

ディープラーニングは、過去10年間のコンピュータ科学において、最も注目すべき成果のひとつである。ディープラーニングをベースとしたAIアプリケーションは、コンピュータビジョンから音声合成、自然言語処理に至るまで、あらゆる場所で使用されている。しかし開発者の側としては、プロフェッショナルなプログラミングとしてAIスキルを学ぶことは依然として難しい。障害はGPUだ。大部分のディープラーニングアルゴリズムやフレームワークは、GPU上で動作するようにデザインされている。CPUでは動作が遅すぎるのだ。一方で、ほとんどのコンピュータはいまだCPUベースである。パーソナルコンピュータには一般的にGPUが搭載されているが、コンピュータ内のオペレーティングシステムやソフトウェアスタックがGPUを"隠す"ように設計されており、ディスプレイグラフィックの高速化以外の使用はできない。

開発者がディープラーニングアプリケーションを書いてパーソナルあるいはクラウドベースのコンピュータ上で実行できれば、プログラムをCPU上で実際に動作させるよい機会が生まれることになる。JetsonシリーズのデバイスとソフトウェアSDKによってNVIDIAは、GPUベースのAIアプリケーションの学習と開発を行うための一貫性のある開発環境を作り上げている。JetPack SDKでは、Ubuntu 18.04ベースで互換性のあるeLinuxのカスタマイズ版、PythonTensorFlowPyTorchNumpyOpenCVといった主要なソフトウェアパッケージの要約版なども提供されており、ソフトウェアスタック全体が開発ボードのGPUとARM CPU用に最適化されている。NVIDIAが公式に提供する学習リソースに加えて、Jetsonエコシステムには開発者や愛好家による活発なコミュニティがあり、デバイスに関する膨大な数のYouTubeビデオオープンソースプロジェクトオンライン記事が提供されている。

エントリレベルのJetsonデバイスであるJetson Nanoは99ドルで、他のシングルボードコンピュータ、例えばRaspberry PiのGPUなしで40ドルという価格に比較するとやや高価だった。新しいJetson Nano 2GBの59ドルという価格ポイントは、価格に敏感な学生や愛好家がAIプログラミングを学ぶには、よりリーズナブルな価格である。

通常のJetson Nanoと同じく、Jetson Nano 2GBは1.43Ghzクロックの64bitクアッドコアARM A57 CPUと、128 CUDAコアのMaxwell GPUを搭載している。GPUは472GFLOPSの計算能力をAIアプリケーションに提供する。実際にAIアプリケーションmに関しては、Jetson Nano 2GBは最新のRaspberry Pi 4よりも8~73倍高速である

Jetson Nano 2GBボードには複数のUSB 2/3コネクタ、電源コネクタ、HDMIディスプレイコネクタ、イーサネットコネクタ、GPIOピン、カメラキットコネクタの他、WiFiおよびBluetootghカード用のM2 key Eコネクタが装備されている。2GBという数字は、オンボードのメモリ空間を表している。Jetson Nano 2GBを起動して使用できるようにするためには、オペレーティングシステムとファイルを格納するマイクロSDカードを追加する必要がある。さらに、コンピュータとして使用可能にするには、カードをHDMIディスプレイ、キーボード、マウス、およびネットワーク(ケーブルベースのEthernetまたはWiFi)に接続することも必要だ。

小サイズで低価格なJetson Nano 2GBは、ロボットやドローンでコンピュータビジョンアプリケーションを動作させることもできる。GPUを使用してカメラからのビデオストリームをリアルタイムで解析し、各ビデオフレーム内の物体や顔を認識して、対応するコントロールコマンドをGPIOあるいはUSBコネクタ経由で送信することが可能だ。ただし、フルビデオイメージ認識モードで動作するGPUは10ワットの電力を消費するため、デバイスをバッテリで長時間動作させ続けるという問題もある。従ってJetson Nano 2GBは、おもに学習用デバイスと考えるのが適当だろう。

Jetson Nano 2GBはオンラインリセラーで予約可能で、提供は10月下旬になる見込みである。NVIDIA Webサイトで公開されている学習用リソースやチュートリアルに従って、自分のGPUでAIアプリケーションのプログラミングを始めよう!

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