今年のIgnite会議で、Microsoftは、Apache Cassandra向けのAzureマネージドインスタンスのパブリックプレビュー版を発表した。これは、CassandraベースのワークロードをAzureクラウドで管理するNoSQLデータベース製品である。
Azure SQLマネージドインスタンスと同様に、この新しいサービスは、部分的なマネージドクラウドサービスへの単一テナント実装として実行されるCassandraデプロイのリフト&シフトを簡素化するように設計されている。この新しいサービスは、ハイブリッドシナリオをターゲットとしており、マネージドのオープンソースApache Cassandraデータセンターの自動デプロイおよびスケーリング操作を提供する。また、Cassandraリング内のオーケストレーターによってフルマネージドでのノードのスケールアップとスケールダウンを提供する。新しいサービスに自動的に管理される他のApache Cassandraタスクとしては、クラスターのプロビジョニング、キースペースでの修復アクションの開始、バックアップのセットアップ、監査ログの維持がある。
Apache Cassandra向けのAzureマネージドインスタンスはAzure Cosmos DBとは異なる。その2つのAzureサービス間にアーキテクチャ上の依存関係はない。どちらも複数のアベイラビリティーゾーンとマルチリージョンデプロイをサポートする。しかし、実行するストレージエンジンは異なる。新しいサービスは、Cassandraを実行する専用のベアメタルインスタンスのデプロイである。一方で、Cosmos DBは互換性のあるエンジンをサポートし、Cassandraは利用できるさまざまなデータモデルの1つである。製品マーケティングのディレクターであるNikisha Reyes-Grange氏は、新しいサービスの目標について次のように説明している。
Apache Cassandra向けのAzureマネージドインスタンスの導入(プレビュー)は、AzureでのCassandraデータサポートの2番目のパスを提供する。そして、自己管理されたオンプレミスデプロイからのダウンタイムゼロの移行を提供する。これにより、開発者やデータベース管理者がインフラストラクチャを管理したり、データベースのバージョンを更新したりする必要がなくなる。
もともとFacebookで開発され、2008年にオープンソース化されたApache Cassandraは、無料のワイドカラムストアの分散型NoSQLデータベースである。単一障害点のない継続的な可用性と高性能を提供する。Apache CassandraのデプロイをターゲットとするクラウドプロバイダーはAzureだけではない。ここ数年で多くの選択肢が出てきた。AWSは可用性の高いApache Cassandra互換データベースサービスであるAmazon Keyspacesを提供する。また、DataStaxのCassandra as aserviceとしてGoogle Cloud MarketplaceでAstraを入手できる。DataStaxは最近、マルチクラウドのサーバレスデータベース・アズ・ア・サービスであるAstraサーバレスを発表した。これは、従量課金モデルとマルチクラウドおよびオープンソースのデプロイを組み合わせたものである。dbInsight LLCの創設者であるTony Baer氏は、次のようにツイートしている。
Cassandraコミュニティにとって非常に健全な発展です。Cassandraはついにクラウドプロバイダーから愛を得ています。トップランクのデータベースであることを考えると、驚くべきことです。これはここ2年から3年に起きていることです。
数か月前、MicrosoftはAzure Cosmos DB Cassandra APIを発表した。そして、IgniteでMongoDB v4.0向けのAzure Cosmos DB APIを発表した。これは、MongoDB 4.0を使用するアプリケーションをAzure Cosmos DBに移行するソリューションである。Microsoftによると、Apache Cassandra用のAzureマネージドインスタンスは、一般向け提供の前にCassandra向けのAzure Cosmos DB APIと統合されてデータ移行機能を提供する予定である。
Apache Cassandra向けのAzureマネージドインスタンスは現在プレビュー中である。必要とされるコアの数、VM SKUの種類、メモリサイズ、ディスクに応じて価格が設定される。