OpenTelemetryプロジェクトは、メトリック仕様のロードマップを発表した。ロードマップには、安定したメトリクスAPI/SDK、メトリクスデータモデルとプロトコル、およびPrometheusとの互換性が含まれている。
OpenTelemetryプロジェクトは、2019年に他の2つのプロジェクト - OpenCensusとOpenTracing - が統合されたことから生まれた。OpenTracingプロジェクトは分散トレース用のAPIと計測 (インストルメンテーション) を提供するために使用されていたが、OpenCensusプロジェクトで同じメトリックと追加のメトリックの収集が可能だった。統合する前は、両方のプロジェクトにインターフェースの実装と主要な監視ベンダとの統合サポート、および一般的なメトリック収集バックエンドがあった。OpenTelemetryメトリックロードマップが規定された目的は、メトリックを他のシグナルに接続し、OpenCensusユーザがOpenTelemetryに移行するための移行パスを提供し、PrometheusやStatsDなどの業界で認められた標準との互換性を提供できるようにすることだ。プロジェクトの貢献者の1人であるReiley Yang氏は、先頃ロードマップについて「最近、OpenTelemetryが仕様のv1.0に到達したことは注目に値します」と書いている。
OpenTelemetry仕様では、トレース、メトリック、バゲッジ (baggage)、ログなど、さまざまな種類の「シグナル」が定義されている。v1.0仕様では、トレース用の安定したAPIと安定したSDKが発表された。OpenTelemetryとOpenCensusの共同作成者であるMorgan McLean氏は、トレース仕様がリリース候補のステータスに達した後の昨年「私たち (プロジェクトチーム) は、トレースに焦点を合わせたものをメトリック仕様に適用する」とコメントした。
その後、このロードマップは、メトリクスAPI/SDK、データモデル、およびプロトコルと同様の目標の計画を発表する。安定した一連のメトリクスAPIは、2021年9月末までに機能を凍結する予定だ。この作業とPrometheusメトリクスのサポートは、Prometheusチームと緊密に協力して行われている。
これらの取り組みはともに、プロジェクトのメトリックに関連する作業の並行ストリームを反映している。Prometheusメトリックのサポートに取り組んでいるグループには、サービスディスカバリ、「up」メトリックのサポート、OpenTelemetry Collectorの受信サンプルのラベル付けなど、一般的なPrometheus機能のリストがある。Collectorは「テレメトリデータを受信、処理、およびエクスポートする方法のベンダに依存しない実装」だ。これは、複数のテレメトリデータプロトコルと、そのデータを受信、送信、および変換するためのアプローチ「パイプライン」をサポートすることによって実現される。Prometheusサポートは、2021年5月末までに行われる予定だ。
このコンテキストでのExporterは、メトリックデータをバックエンドシステムに送信する責務があるプロセスだ。Exporterは、メトリック、トレース、およびログに使用できる。この記事の執筆時点で、OpenTelemetry Collectorのコアディストリビューションには、OpenCensus、OTLP (gRPCおよびHTTP) 、およびPrometheusのメトリックExporterがある。OTLPは、ソース、Collectorなどの仲介者、およびバックエンド間でテレメトリデータをエンコード、転送、および配信するためのプロトコルを記述するOpenTelemetryプロトコルだ。それは現在ベータ版だ。ベンダ固有のエクスポータを備えたCollectorの追加のリポジトリがある。
OpenTelemetryは現在CNCFのサンドボックスプロジェクトだ。