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KubeCon + CloudNativeCon NA 2021: 注目の発表とQ&A - Priyanka Sharma氏に聞く

原文(投稿日:2021/11/02)へのリンク

InfoQはロサンゼルスで開催されたKubeCon + CloudNativeCon North America 2021期間中に、Cloud Native Computing Foundation(CNCF)のジェネラルマネージャであるPriyanka Sharma氏と会い、イベントに関する話題の他、開発者向けの新たなプロジェクトやツール ダイバーシティとインクルージョン、ハイテク分野における女性、といったトピックについて話すことができた。

そこで得た情報は、おもに次のようなものだ。

  • CiliumがインキュベーションプロジェクトとしてCNCFに参加した。Kubernetesのpod対pod通信を行うCNI(Container Network Interface)プラグインとして広く知られており、eBPFを使ったネットワークセキュリテイ、可観測性(オブザーバビリティ)、拡張ネットワーク機能をKubernetesに提供する。
  • Fluxが重要なマイルストンに到達した。Fluxは現在、Alibaba、State Farm、Deutsche Telekomなど多くの企業に加えて、米国国防省でも使用されている。Kubernetesの継続的かつ漸進的デリバリを処理し、GitOpsツールキットが付属する。
  • エントリレベルのKubernetes認証が新たに発表された。このKubernetes and Cloud Native Associate(KCNA)認証は多肢選択形式の試験で、Kubernetesに関する基本的な知識とスキル、クラウドネイティブな視点、クラウドネイティブセキュリテイに関する基本概念を問うものだ。
  • テクノロジ分野における不適切な用語の置換を目指してCNCFが発足したイニシアティブであるInclusive Naming Initiative(INI)が、さらなるインクルージョンを目的とする新たなコミュニティリソースを発表した。新たな用語推奨、トレーニングコース、用語フレームワークなどが含まれている。

 

KubeCon NA 2021会場
KubeCon + CloudNativeCon NA 2021 
 

Sharma氏は今回のイベントにおいて、1年以上のリモートワークの後に人々が集まることに大きな期待を抱いていた。過去18か月の間にCNCFは急速に拡大しており、現在は以下のような規模になっている。

  • 725名のメンバ
  • 138,000のコントリビューション
  • 110のプロジェクト
  • 150のエンドユーザ組織

InfoQ: 今年のカンファレンスのテーマが"Resilience Realized"なのはなぜでしょう、私たちが現在、パンデミックから抜け出そうとしていることと関係があるのでしょうか?

Sharma: 今回のKubeConが私たちすべてにとって持つ意味を考えたとき、それがこの"希望の光"だったのです。もう一度直接会いたいという、私たち全員の願いを達成することが、今回の最大の目標でした。コミュニティの多くの人たちにとって、ある意味での感動であったかも知れません。同僚や友人に会いたいと思います。直接の対面がコラボレーションを飛躍させることは、調査の結果からも明らかです。

パンデミックの期間を通じて、#Teamcloudnativeは、世界の他の地域と同じように、多くの課題や損失、制約、ライフスタイルの完全な変化に対処してきました。それと同時に、クラウドネイティブのニーズが加速したことにより、世界に対してCNCFの存在感を示す必要もありました。

InfoQ: 今日の開発者を支援する上で、重要なCNCFプロジェクトは何だと思いますか? その理由も教えてください。

Sharma: 開発者エクスペリエンスは多岐に渡るテーマだと思います。およそ開発者が触れるものは、そのすべてが開発者エクスペリエンスに寄与します。特に注目すべき領域はオートメーションとGitOpsです。開発者エクスペリエンスを容易にすることが重要だからです。

その観点から言えば、ArgoFluxは注目に値するプロジェクトであり、最もよく耳にするプロジェクトでもあります。私たちは現在114のプロジェクトを抱えていて、その他のプロジェクトもそれぞれGitOpsのストーリに貢献していることは間違いありませんが、現在のコミュニティにおいて最も重要なのはこの2プロジェクトです。

その他では、一般論として、可観測性に関するストーリ全体が開発者エクスペリエンスの一部であると思っています。新機能の開発中は可観測性にはあまり注意を払わないかも知れませんが、ひとたび問題が発生すれば、それが呼び起されることになるのです。

可観測性のストーリが通っていなければ、エンドユーザが経験するエクスペリエンスは最悪のものになります。その観点では、OpenTelemetryPrometheusが非常に重要です。この2つのカテゴリには、開発者は常に注意しておくべきだと思います。

InfoQ: 今はクラウドネイティブなソフトウェア開発のためのツールがたくさんあって、開発者が仕事に適したツールを選択する上で困惑することもあります。CNCFにはどのような支援ができるでしょう?

Sharma: この話題については、コミュニティから毎日耳にしています。不思議なことなのですが、この質問はCNCFのプロジェクトがわずか5つの頃からあります。そして今は114のプロジェクトが存在するのです。

CNCFの観点からは、リファレンスアーキテクチャ的なものによるサポートを、ベンダ中立という私たちの価値観を維持できる方法で行うための検討をしています。

今日ではエンドユーザコミュニティが、開発者がユーザと話したり、学んだり、コラボレーションする上で最適な場所になっています。

InfoQ: ダイバーシティやインクルージョンがハイテク分野で特に重要だと思うのはなぜですか?

Sharma: 最高のアイデアや最高の成果に郵便番号(zip code)はありません。インテリジェンス、ハードワーク、性格的特性といったものは、場所を選ばず得られるものです。今日では、世界全体がチームクラウドネイティブに頼っています。

私が言いたいのは、地理や性別や人種など、あらゆる面において機会の公平性が必要である、ということです。これが私たちをより強く、特別なものにしてくれます。

InfoQ: ハイテク分野の女性の地位向上とサポートのために、CNCFとして実施ないし計画していることはありますか? 

Sharma: CNCFが得意とするものは、あらゆる種類の多様性、特に性の多様性の維持を常に念頭に置くことだと思っています。人々に手を差し伸べて招き入れるという面では、私たちはかなりうまくいっていると思いますし、私の意見としてはその成果も上がっています。KubeCon Keynotesのダイバーシティに関して言えば、Technical Oversight Committee(TOC)の構成には自信を持っています。CNCFには輝かしい女性リーダが何人もいます。素晴らしいことだと思いますが、

もっと考える必要がありますし、それ以上のことをする余地があると思っています。例えば私たちは、私たちの目の届く範囲内では素晴らしい成果を上げていますが、コミュニティから完全に外れた人たちを同じレベルに到達させるにはどうするのか。どのように人員を調達して、より早い段階で彼らを受け入れるにはどうすればよいのか。

カンファレンスの全セッションと基調講演は、CNCFのYouTubeチャネルで見ることができる。

次回のKubeCon + CloudNativeCon 2021はOpen Source Summit in Chinaと合わせて、12月9~10日の仮想イベントとして開催される予定である。

2022年のKubeCon + CloudNativeCon Europeは5月17~20日にスペインのバルセロナで、同North Americaは10月25~28日にデトロイトで、それぞれ開催される。

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