Google Cloudは最近、AlloyDB for PostgreSQLを発表した。エンタープライズへの展開をターゲットとしたPostgreSQL互換のマネージドサービスである。AlloyDBは、原子性、一貫性、分離性、永続性(ACID)に準拠したトランザクション処理をサポートするフル機能のクラウドデータベースである。
AlloyDBはPostgreSQL 14と互換性がある。既存の処理に対して移植性を提供しており、レガシーデータベースから移行することができる。Googleは、標準のPostgreSQLよりも「トランザクション処理では4倍、分析クエリでは最大100倍高速」であると主張している。Google Cloudのデータベース担当のGM兼エンジニアリング担当副社長 Andi Gutmans氏は、次のように述べている。
多くのマネージドデータベースサービスと同じように、AlloyDBではデータベースのパッチ適用、バックアップ、スケーリング、レプリケーションを自動的に処理します。ただし、PostgreSQLのVACUUM管理、ストレージとメモリの管理、データの階層化、分析の高速化に適応アルゴリズムと機械学習を使うことで、さらに先に進んでいます。実行している処理について学習し、メモリ、超高速セカンダリキャッシュ、耐久性のあるストレージを横断でデータをインテリジェントに整理します。
他にも「AlloyDB for PostgreSQLの内部」の記事で、Googleのエンジニアリングディレクタ Ravi Murthy氏とGoogleの製品管理のディレクター Gurmeet Goindi氏が、ストレージレイヤの仕組みについて説明している。
AlloyDBは、データベースレイヤをストレージから分離し、PostgreSQL向けに最適化された新しいインテリジェントストレージサービスを導入することから始まっています(...)ストレージレイヤでさえも、アーキテクチャを完全に細分化することで弾力性のある分散クラスターとして機能できるようになります。このようなクラスタでは、処理の変化に動的に適応でき、フォールトトレランスとなり、可用性が向上します。そして、コスト効率の高い読み取りプールが利用して、読み取りスループットを水平方向にスケールできるできるようになります。スタック横断の複数のキャッシュレイヤ(...)により、開発者は、クラウドネイティブストレージの規模、経済性、可用性を維持しながら、パフォーマンスを向上させることができます。
出典: https://cloud.google.com/blog/products/databases/alloydb-for-postgresql-intelligent-scalable-storage
多くの専門家は、AlloyDBがAmazon Auroraに対抗したものであると言っており、Google Cloudは、AlloyDBはAWSサービスよりもトランザクション処理で2倍高速である場合があると述べている。Amazon Auroraと違い、AlloyDBはI/Oに対する課金はないが、現在サーバレスバージョンを提供していない。Gutmans氏は次のように付け加えている。
AlloyDB(およびGoogleシステム)で使われる「部品化された(disaggregated)」コンピューティングとストレージが、他のベンダーが言うコンピューティングとストレージの分離とどのように違うかを尋ねる人が何人かいます(...)これは、私たちのモデルからわかるように、まったく異なります。コンピューティングとストレージはどちらも、最も細かいレベルで「非常に」柔軟であり、遅延が非常に小さくなっています。他は、コンピューティングとストレージの間に、そして/あるいは2つのコロケーションの間に大きな遅延がある傾向があります。
以前はMongoで著名なエンジニアであり、FacebookでMTSを務めていたMark Callaghan氏は、次のようにコメントしている。
クラウドネイティブPostgreSQLがここにあります(Yugabyte、AlloyDB、Amazon Aurora)が、アップストリームのPostgreSQLが、高速(低レイテンシ+直接接続)ストレージデバイスを活用する唯一の方法です。その状況が変わるかどうかを見ていくのは興味深いでしょう。
人気のあるRedditスレッドで、一部のユーザは、サーバレス価格設定モデルがないことと、Cloud SQL for PostgreSQLと比較した場合の機能制約に注目している。Google Cloudは昨年、InfoQで以前に報告されたように、PostgreSQLインターフェース for Spannerを追加している。
AlloyDB用のコンピューティングリソースの価格はvCPUごとであり、メモリとストレージのGBの価格は地域によって異なる。ネットワークの場合、入力は無料で、出力の料金は宛先によって異なる。