マイクロソフトはオープンソースAzure MCP Serverのパブリックプレビュー、Azureリソースへのアクセスを提供することによりAIエージェント機能を強化する新しいツール、を発表した。Azure MCP ServerはAIエージェントがファイルストレージ、データベース、ログなどのAzureサービスとやり取りしたり、CLIコマンドを実行したりできるようにする。
Model Context Protocol(MCP)は、AIエージェントと外部リソースとのやり取りを標準化するオープンプロトコルである。Azure MCP Serverはこのプロトコルを実装し、AzureサービスをAIシステムに公開する。マイクロソフトによると、これによって開発者は、Azureリソースのコンテキストを意識したエージェントを構築できるようになる。例えば、エージェントは自然言語を使ってAzure Cosmos DBにクエリを発行したり、Azure Storageファイルにアクセスしたり、Azure Log Analyticsのログを分析したりできる。
Azure MCP Serverのパブリックプレビューには、以下のAzureサービスとツールのサポートが含まれている:
- Azure Cosmos DB(NoSQL):アカウント、データベース、コンテナ、アイテムをリスト;SQLクエリを実行。
- Azure Storage:アカウント、Blobコンテナ/Blobのリスト;BlobコンテナやBlobの管理;テーブルのリストアップやクエリ;コンテナプロパティやメタデータの取得。
- Azure Monitor (Log Analytics):ワークスペースとテーブルのリスト;Kusto Query Language(KQL)によるログのクエリ;モニタリングの構成。
- Azure App Configuration:ストアのリスト;キー-値ペアとラベル付き構成管理;設定のロック/ロック解除。
- Azure Resource Groups:リソースグループのリストと管理。
- Azure CLI:すべてのCLI機能、JSON出力でのCLIコマンドの直接実行。
- Azure Developer CLI (azd):コマンドの直接実行、テンプレートの検出、初期化、プロビジョニング、デプロイメントのサポート。
(出典:Mediumブログ投稿)
Brian Veldman氏は、Azure MCP Serverに関するMediumのブログ投稿で結論付けている:
これからはAzure MCP Serverを使ってサブスクリプション内のAzureサービスとやりとりできます。これはログ分析など、トラブルシューティングの場面で特に役立ちます。
マイクロソフトは、この機能によってエージェントがAzureサービス上でオペレーションし、クラウドリソースを管理し、アプリケーションをデプロイできるとしている。一方でAzure CLI MCP Serverなど、Azureリソース用MCP Serverを活用した多くのオープンソースプロジェクトがGitHubで公開されている。Java Developer RelationsのプリンシパルマネージャーJulion Dubois氏は、Azure CLI MCP Serverについてツイートしている:
これはAzure CLIをラップするMCPサーバーで、LLMはAzureに直接コマンドを送信できます。
さらに、Madni Aghadi氏はXのツイートで次のように述べている:
「MCPはただのハイプだ(流行だ)」と思っていましたが、ローンチ以来1,000以上のMCPサーバーが構築されているのを見て考えが変わりました。
GitHub Copilot Agent ModeやカスタムMCPクライアントを含む、MCPクライアントパターンをサポートするエージェントであれば、Azure MCP Serverを使用できる。
- GitHub Copilot Agent Mode:Azure MCP Serverは、VS Code上でGitHub Copilotと一緒にインストールできる。マイクロソフトは、開発エクスペリエンス向上のためにAzure MCP ServerとGitHub Copilot for Azure拡張機能を組み合わせることを推奨している。
- カスタムMCPクライアント/エージェント:エージェントがAzure MCP Serverと連携するにはMCPクライアントパターンを採用する必要がある。Semantic Kernelなどのフレームワークを使用して、このようなエージェントを構築できる。マイクロソフトは、サーバーをインストールして実行するためのコマンド(npx -y @azure/mcp@latest server start)を提供しており、Azure MCPサーバーはどんなMCPクライアントでも動作するはずだと述べている。
Azure MCP Serverは、他のクラウドプロバイダーが自社エコシステム内でAIエージェント機能を強化する動きと同様の取り組みである:
- Cloudflareは最近、自社プラットフォーム上でリモートMCPサーバーの構築とデプロイを可能にし、インターネット経由でMCP機能に広くアクセスできるようにした。
- AWSはAWSのベストプラクティスを取り入れ、AI駆動コードアシスタント向けにコンテキスト認識型ガイダンスを提供する、コードアシスタントのためのAWS Model Context Protocol(MCP)サーバーをリリースした。
最後に、マイクロソフトはAzure MCP Serverをより多くのエージェントサンプル、ドキュメント、マイクロソフト製品、Azureサービス統合、追加機能で強化する計画だ。