マイクロソフトは最近、Azure AI Foundry Agent ServiceにおけるModel Context Protocol (MCP)サポートのプレビューリリースを発表した。5月に一般公開されたこのサービスは人工知能(AI)エージェントの相互運用性を大幅に向上させることを目指している。
生成AIエージェントはますます強力になっているが、企業のデータソース、ワークフロー、専門知識ベースに接続する際の複雑さがしばしばその有用性のボトルネックとなっている。従来これはAzure Functionsでの手作業、OpenAPI仕様の管理、各バックエンドシステム用のカスタムプラグインの開発など煩雑なプロセスを伴っていた。
MCPはAnthropicにより最初に提案されたもので、この課題に対応する。MCPはオープンなJSON-RPCベースのプロトコルで「サーバー」がツール(関数)やリソース(コンテキスト)を公開できるようにする。準拠する「クライアント」(Foundry Agent Serviceなど)はその機能を自動的に検出し呼び出せる。マイクロソフトのプリンシパルクラウドソリューションアーキテクト Kapil Dhanger氏はLinkedIn投稿で「AI統合のためのUSB-C」と表現し、「一度接続すれば、どこでも統合できる」体験を約束している。ソリューションアーキテクト Abbas Ali Aloc氏もLinkedInで「MCPはAIエージェントのためのロゼッタストーンのようなものです-相互運用性を促進する素晴らしい取り組みです!」とコメントしている。
このプレビューにより、同社ドキュメントによれば、Azure AI Foundry Agent Serviceは一流のMCPクライアントとなる-開発者は自己ホスト型でもSaaS型でも任意のリモートMCPサーバーを持ち込むことができ、Azure AI Foundryはその機能を数秒でインポート・自動更新し、サービスのエンタープライズグレードのセキュリティエンベロープで呼び出しをルーティングできるようになる。さらにレコード管理システムのクエリ、ワークフローのトリガー、専門知識にアクセスできるAIエージェント構築・運用が大幅にシンプルになる。
Azure AI Foundry Agent ServiceにおけるMCPサポートの主な利点は以下の通り:
- カスタム関数の作成や管理なしで内部サービスや外部APIとの接続を簡素化する、Easy Integration。
- Bring Your Own thread storageなど、Foundry Agent Serviceのエンタープライズ対応機能を活用する、エンタープライズ機能強化。
- 接続済MCPサーバーから得られるアクションやナレッジが、機能進化とともに自動的にエージェントへ追加・更新され、開発やメンテナンス時間を短縮する、エージェント開発効率化。
(出典:Microsoft Devblogs)
Azure AI Foundry Agent ServiceがMCPサポートを内蔵したAIエージェント開発の統一プラットフォームを提供する一方で、Google CloudとAWSもそれぞれのサービスポートフォリオを通じてMCPを統合している。GCPのVertex AI Agent Builderは、Agent Development Kitと「MCP Toolbox for Databases」と共に、MCPを介してデータソースにエージェントを接続するための構造化された環境を提供している。同様にAWSもAmazon Bedrock Agentsや、ECSやEKSなどの特定AWSサービス向けのオープンソースMCPサーバー拡充を通じて、開発者がAmazon Q Developerのようなリアルタイムコンテキスト情報を統合できるようにしている。
最後に、この発表はMicrosoft Build 2025でSatya Nadella氏が「open-by-design」AIエコシステムについて強調したことや、Windows 11、GitHub、Copilot Studio、Azure AI Foundry全体でMCPを標準として確立するAnthropicとのパートナーシップに続くものです。