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初開催のMCP開発者サミットがAI統合の未来を描く

原文リンク(2025-07-17)

2025年5月、Model Context Protocol(MCP)の開発者や貢献者たちがサンフランシスコに集まり、初の開発者サミットを開催、LLMアプリケーションと外部データソースやツールをシームレスに統合するために急速に採用されている、このオープン標準の未来を描いた。

サミットではMCPのロードマップに関する議論が行われ、セキュリティ強化、可観測性、スケーラビリティを含む重要なエンタープライズ機能にフォーカスがあてられた。参加者は採用事例やケーススタディ、ベストプラクティスもシェアした。

MCPは2024年11月にAnthropicによって導入されたオープン標準であり、最先端のLLMがより良く、より関連性の高い応答の生成を支援するよう設計されている。これを実現するために外部ツール、システム、データソースとLLM間のデータ共有をシームレスかつ標準化されたプロトコルで提供し、断片的でカスタムな統合の必要性を排除している。特に、OpenAIMicrosoftMicrosoftGoogleなどの主要企業がMCPの採用と製品への統合計画を公表している。

MCP共同作成者かつAnthropic技術スタッフのDavid Parra氏は、サミットの基調講演を行い、プロトコルの主要なプリミティブセットを概説し、広範なエンタープライズ採用を達成するための重要な次のステップを強調した。彼は講演の締めくくりにMCPをLLM統合においてユビキタスな存在にするための今後の開発について、エージェントインタラクションの強化、MCPサーバーの発見と公開、エコシステムの拡張を含む詳細を述べた。

Parra氏はMCPがリッチなAIインタラクションを可能にするために設計された3つの主要なプリミティブ:プロンプト、リソース、ツールについて精緻化した。プロンプトはMCPサーバーがクライアントに公開する事前定義テンプレートで、ユーザーがAIとのインタラクションに明確なコンテキストを追加し、特定ワークフローを誘導できるようにする。例としてはアプリケーションのスタータープロンプトや、GitHubのPRコメントからコードの問題を動的に要約するものがある。リソースはMCPサーバーがクライアントに提供するデータやコンテンツで、LLMとのインタラクションのコンテキストとして機能する;例えばMCPクライアントが視覚化するために、データベーススキーマをリソースとして公開できる。

最後のツールはMCPサーバーが提供する具体的なアクションや機能を表し、LLMがユーザーの意図に基づいて具体的なアクションを実行できるようにする。これらのアクションにはデータベースのクエリ、ファイルシステムとのやり取り、GitHub PR管理などが含まれる。Parra氏はシンセサイザーやブレンダーのような物理デバイスのプログラミングを含む、クリエイティブなツール使用例もハイライトした。

図1:リッチなAIインタラクションに向けてのMCPの3つの主要プリミティブ

画像出典:【基調講演】MCP201: The Protocol in Depth with David Soria Parra at Anthropic

インタラクションモデルはMCPサーバーとの異なるインタラクション方法を示しており、プロンプトはユーザー主導、リソースはアプリケーション主導、ツールはモデル主導であることを示している。

図2:MCPの3つの主要プリミティブに対するインタラクションモデル

画像出典:【基調講演】MCP201: The Protocol in Depth with David Soria Parra at Anthropic

Parra氏は2025年上半期にMCPの採用が爆発的に増加し、10,000以上のコミュニティ開発によるMCPサーバーと多数のMCPクライアントが存在する状況を説明したが、現在のところほとんどのMCPサーバーはローカルにダウンロードされてデプロイされていると述べた。MCPが真にユビキタスになるためにはインターネットにデプロイされるMCPサーバーに堅牢なアクセス制御や効果的なスケーリングといった重要機能が組み込まれる必要がある。

アクセス制御はインターネット上にホストされたMCPサーバーに対してセキュアな認証を可能にし、金融取引などセンシティブなアクションを信頼性高く実行できるようにする。企業にとってアクセス制御は、既存のシングルサインオンメカニズムを通じて会社データへのシームレスかつセキュアなアクセスを提供し、ユーザビリティとマネージビリティを大幅に向上させる。

MCPサーバーがインターネット上にデプロイされるにつれ、高ボリュームのリクエストを処理するための効果的なスケーリングが重要になる。その鍵となるのがプロトコルレベルでストリーム可能なHTTPアプローチを採用することだ。この方法は長時間接続を避けつつ、必要に応じて双方向性を維持し、マイクロサービスを通じてREST APIのスケーラビリティをミラーリングする。

MCPの偏在性をさらに高めるために、創設者と貢献者はプロトコルの次のバージョンを積極的に開発している。基調講演の締めくくりにParra氏はMCPの未来に特に期待している重要領域をハイライトした:

まず、エージェント的な行動の強化が重要な焦点である。将来のバージョンではより高度なエージェント的非同期タスク実行をサポートし、長時間実行タスクに対応するとともに、ユーザーからのフィードバックを求めたり、利用規約への同意を促したりするような人間を介在させたインタラクションを改善する。次に、MCPの急速な採用によって生じる課題に対処するため、発見可能性の向上が予定されている。公式のレジストリAPIが間もなく利用可能となり、MCPクライアントやユーザーが関連性の高い信頼できるMCPサーバーを簡単に見つけられるようになる。

最後に、開発者エコシステムの育成が重要であり続ける;公式RubyおよびGo SDKが開発中であり(GoogleがGo SDKの開発に貢献中)、MCPサーバーやクライアントを構築するためのツールがさらに拡充される予定である。

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