InfoQ

News

Spring MVCに対するセキュリティ勧告

作者 Ryan Slobojan, 翻訳者 金森 諭 投稿日 2008年7月25日 午後6時33分

コミュニティ
Java
トピック
セキュリティ,
Webフレームワーク
タグ
Spring

Spring MVCの潜在的な問題を指摘するあるセキュリティ勧告が出された(2008年7月16日)(リンク)。これはSpring MVCを使って実装されてきたアプリケーションに影響を与える可能性がある。この問題はサーバサイドでの処理とクライアントサイドのパラメータに関わる。InfoQはこの問題を詳しく分析し、またこの問題を指摘したOunce Labs(リンク)に話を聞いた。

公式のプレスリリース(リンク)ではこの問題を次のように述べている。

ウェブアプリケーションをクロスサイトスクリプティング(XSS)やSQLインジェクション攻撃にさらす通常のアプリケーション脆弱性と違い、これらの新しいタイプの脆弱性はSpring Framework内のセキュリティフローについてではなく、もし実装が適切におこなわれなかった場合にビジネス上重要なアプリケーションを攻撃にさらすことになる設計上の問題です。Spring Frameworkを使ったアプリケーションの設計フェーズとテストフェーズにおいて正しいセキュリティ意識を持つことは、デプロイ後の攻撃から企業を守ることになります。

そしてOunceはこの問題をより詳しく説明する。

まずは問題なのはデータバインディングと呼ばれる処理です。Spring MVCは、フォームのフィールドに入力されたデータを、それに対応したオブジェクトモデルを実装するjavaビーンズに自動的にセットする機能を備えています。これで問題になるのは、同一のビーンを複数のフォームについて使っていた時、各フォームから送信されてくるデータが異なるということです。たとえば、あるウェブアプリケーションのあるビーンがユーザアカウントを表していたとして、このビーンを更新する2つのフォーム、一方は新しいアカウントの作成のためで、もう一方は既存のアカウントを更新するためのフォームがあったとします。するとアカウント更新のフォームで別のユーザのアカウントを変更することができてしまう可能性があります。2つ目の脆弱性はビジネスプロセスをコントロールするのにユーザでコントロール可能なデータを使うことから起きます。セキュリティの世界では悪意のあるスクリプトを含んだりSQLインジェクションのような攻撃を起こす可能性があるユーザデータのチェックについては高い意識がありますが、それだけでなくビジネスプロセスをコントロールするのに使われるデータでユーザコントロール可能なものも全てチェックをしないといけないのです。たとえば、Spring MVCを使ってつくられた取引システムがあって、そこに3つのコントローラがあったとします。メインのコントローラは新しい取引リクエスト、別のコントローラは取引リクエストのチェック、あとのコントローラは取引の実行を処理するとします。もしこの一連の処理のいずれかのポイントで、次の処理を行うコントローラを指定する画面があって、それをユーザが使ったとしたら、ビジネスプロセスを破綻させてチェックのすんでいない取引を行うことができてしまいますね。

SpringSource(Springの開発元企業)のセキュリティ勧告(リンク)でもこの2つの問題に詳しく触れて、どのようにこの両方を解決するかを説明している。

編集不可のフィールドに対するデータ入力を未然に防ぐには、バインディングを行うフィールドをDataBinderで明示的に設定しないといけません。このために、アプリケーションで使う各DataBinderインスタンスのallowedFieldsプロパティをセットします。これを主要なコントローラ実装でどのようにおこなえばいいかを以下の例で示します。
  • SimpleFormController ー initBinder(HttpServletRequest, ServletRequestDataBinder)をオーバーライドし、引数に与えられたServletRequestDataBinderインスタンスのsetAllowedFields(String[])を呼び出す
  • MultiActitonController - メソッドの中でインスタンス化する全てのServletRequestDataBinderのインスタンスのsetAllowedFieldsを呼び出す
  • @Controller - Contollerを明示的に設定するメソッドの中にWebDataBinderを挿入する@InitBainderアノテーションを使う。その ContorollerクラスのsetAllowedFields(String[])を呼び出してそのControllerクラスでバインディング可能なフィールドを指定する。もしallowedFieldsの対象をメソッドごとに変える必要があるのなら、@InitBinderを付けたメソッドで HttpServletRequestを受け取るようにし、現在のリクエストのマッピングを変更する。
  • AbstractWizardFormController ー initBinder(HttpServletRequest, ServletRequestDataBinder)をオーバーライドし、引数に与えられたServletRequestDataBinderインスタンスのsetAllowedFields(String[])を呼び出す。ページごとのallowFieldsを設定するには getCurrentPage(HttpServletRequest)を呼び出す。

ModelViewインジェクションの問題を未然に防ぐには、クライアントにビューの名前を選ばせないようにするだけです。ビューの名前はサーバサイドの責任です。 

Ounceは同じような問題を抱えているフレームワークが他にもあるに違いないとも述べた。

このような脆弱性は全ての自動バインディングをおこなっているフレームワーク、またはアプリケーションのビジネスプロセスをユーザがコントロールできるポイント全てに存在します。私はいくつかの独自フレームワークで同じような脆弱性を見てきましたし、Ruby on Railsアプリケーションも最近調べてみましたがやはり同じような脆弱性がありました。問題なのはこれらのフレームワークの多くが、ディベロッパがコードをあまり書かないでもアプリケーションを作れることを意図して作られていることです。(デフォルトで)簡単かつセキュアにアプリケーションを作れるようにフレームワークが作られるかぎり、簡単に書けてしまうセキュアでないアプリケーションを多く抱えてしまうのです。

原文はこちらです:http://www.infoq.com/news/2008/07/spring-mvc-advisory

ブックマーク
digg+,
reddit+,
del.icio.us+,
dzone+,
Hatena

No comments

返信

特集コンテンツ一覧

トップスポーツチームの監督に教わる秘訣

この論文では、氏が発見した原則を要約し、その原則をいかにしてソフトウェア開発に応用するかを説明します。

事例研究:Dutch Railwaysのプロジェクトにおける分散拠点でのスクラム・プロジェクト

この記事では、私達がどのようにして大規模(240人月、10万行強)でインドとオランダの開発者も参加したスクラム・プロジェクトを成功させたのかを示しています。

Agile2008チーム参加レポート - 帰国そして変化

Agileカンファレンスに「参加者としてだけでなく、発表者として参加しよう」を掲げたチームgoyattomは、サブミッションを提出し、7つのセッションが日本から選択されました。参加者はカンファレンスで各々の発表や、各セッションへの参加、諸外国のエンジニアとの出会い、ステージ上で DearXPを熱演などの様々な思い出を抱えて、無事日本に戻ってきました。

SilverlightとJavaのインターオペラビリティ

マイクロソフトのRobert Bellが、SilverlightとJavaを使用したインターオペラビリティのシナリオを紹介し、サンプルコードを例にとってアーキテクチャの手引きを提供します。

Agile2008 チーム参加レポート - カンファレンス参加編

Agileカンファレンスに「参加者としてだけでなく、発表者として参加しよう」を掲げたチームgoyattomは、サブミッションを提出し、7つのセッションが日本から選択されました。サブミッションが選択された人、そうでない人も含めて、個々の目的意識の確認、膨大なプログラムから聞きたいセッションの選択、旅行の準備、プレゼンテーションの準備の期間を終えて、無事当日を迎えました。

Agile2008 チーム参加レポート - 動機/準備編

筆者はアジャイルソフトウェア開発についての年に一度の国際会議であるAgile2008に初めて参加してきました。今年の日本からの参加者の数は14名にも及び、発表者は5名、受け持ったセッションは8つに及び、例年にない活躍を見せました。なぜ今年のAgile2008では、これほど多くの日本人が参加し発表に至ったのか? そのレポートをお届けします。

Javaトラブルシューティングメルマガ総集編 2008/08~09

エスエムジーでは、Java全般を対象にしたトラブルシューティングサービス「JaTS」を提供しています。この記事では、前回に引き続き、JaTSにて蓄積したトラブル事例とその解決ノウハウの一部をお送りしている「Javaトラブルシューティングメールマガジン」(JTSMM)の総集編として、過去2ヶ月のトラブル事例と追加情報をダイジェストとして提供いたします。

モデル駆動アプローチがうまく機能しない(しなくなる)8 つの理由

この記事では、モデル駆動アプローチがうまく機能しない、または機能しなくなることによって期待した結果が実現できなくなる 8 つの理由について書きたいと思います。