BT

最新技術を追い求めるデベロッパのための情報コミュニティ

寄稿

Topics

地域を選ぶ

InfoQ ホームページ ニュース カンバン方式を適用する間違った理由と正しい理由

カンバン方式を適用する間違った理由と正しい理由

原文(投稿日:2009/09/29)へのリンク

カンバンは字義的には、 “カン”が目で見てわかることを意味し、“バン”はカードやボードを表す。カンバン方式の目的は各工程の間でWIP (Work-In-Process=中間成果物)、または在庫を最小にすることだ。それには、下流の工程が必要な部品だけを上流の工程が作るようにする。最近になってリーン方式とカンバン方式は一般的になってきた。多くの企業がカンバンボードを用意してWIPを抑制し、ムダを省いている。Michael Dubakov氏はカンバン方式を適用する間違った理由と正しい理由を調べた。

氏は、次の5つはカンバン方式を適用する間違った理由だ、と考えている。コメントは氏が間違っていると感じる理由だ。

  1. 我々が抱えているストーリーの大きさは様々であり、小さいものは1ポイントぐらいだが大きくなると40ポイントにもなる。大きな作業は反復開発に向いていない。 – チームが理解しなければならないのは、ストーリーを小さく分割する方法です。待ち行列理論によると、ほぼ同じ大きさのストーリーにしておくのが良いようです。
  2. 単一の反復ではストーリーが完了できない。 – より小さな反復にすると、その分取引コストが発生します。
  3. 振り返り会議が無駄だ。工程の改善に役立たないからやりたくない。 – このチームは振り返りが失敗してしまう原因を分析するべきです。よくある原因は"会議の後に実行すべき作業項目が生まれない"ことです。
  4. 開発者を複数のプロジェクトで共有しているから、安定した体制が構築できない。 -開発者をプールして、スプリントを計画することに難しさを感じているのなら、問題の根本を解決しましょう。機能横断的なチームを作り、作業が多重にならないようにするのです。
  5. カンバン方式は単純で、計画も見積もりも反復もない。作業の無駄が生まれない。 – 難しい仕事、訓練、完璧な成果や継続的な改善を目指すことに銀の弾丸や代替案はありません。今挙げたことのどれでも、実践するにはアジャイルの方法論が必要です。

さらに氏はカンバン方式を適用する5つの正しい理由挙げている。氏によると、

  1. いつでもリリースできる。 – ScrumやXP開発では普通、スプリントの途中でリリースすることはない。しかしカンバン方式ではそれが可能。
  2. 優先順位をその場で変更できる。 – Scrumではスプリントの途中で優先順位を変更するのはとても大変だが、カンバン方式では、実装や重要なユーザストーリーが急に要求されたとしても、その案件を待ち行列のトップに置けばいいだけ。
  3. 反復開発をしなくてもいい。 – 作業をリズムにのせるには、反復開発が最適。しかし、一度流れが確立してしまうと、反復は無駄になりやすい。
  4. 見積もらなくてもいい。 – 反復と同じように、見積もりも無駄になりやすい。Michael氏の行ったプロジェクトでは、バックログをとることを重要視して最も重要なユーザストーリーだけを取り出し、実装している。
  5. 作業の流れが完璧に視覚化できる。 - カンバンボードを使えば、現在進行中の作業について明確に表現できる。カンバンボードは作業の流れを視覚化し、計画とその後の追跡が可能になる。

Tobias Mayer氏がカンバン方式を適用するその他の正しい理由をコメントすると、 Karl Scotland氏が、それに答えて次のように述べた。

カンバン方式を取り入れる理由として、とりあえず思いつくのは次の5つです。
  1. 価値の流れをモデル化できる。
  2. 作業を視覚化できる。
  3. 進行中の作業を抑制できる。
  4. ケイデンスを確立できる。
  5. 継続的な改善が可能になる。

他のプロセスと同じように、カンバン方式も適用するには理由が必要だ。アジャイルチームは、既存のプロセスがうまくいかないという理由だけで、カンバン方式を採用してはならない。 正しい理由がある場合のみ、現在のプロセスを改善する方法を考えた上でカンバン方式を採用するのが成功の鍵となる。

この記事に星をつける

おすすめ度
スタイル

BT