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Jim Highsmith 氏が Agile Australiaで-マネージャへのアドバイス

原文(投稿日:2010/09/22)へのリンク

Jim Highsmith 氏は、 Agile Manifestoの起草者の一人で、コンサルタントでありライターである。彼は、今週 Agile Australiaカンファレンスで講演を行ない、幹部用の朝食会で、幹部やマネージャーによるアジャイルへの移行を支援する方法について発表し、組織がアジャイル手法を採用した時に、パフォーマンス測定法の再考の必要性と、いかにプロジェクト マネージメントの「鉄の三角形」の大きさを変える必要があるかについて、最初の基調講演を行った。 

彼は、またThoughtworksに Executive Consultant として加わったと発表した。

幹部朝食会での彼のテーマは、マネージャーや幹部が、アジャイルチームをサポートしたり、組織でアジャイルに移行できるようにするために、何をする必要があるのか、ということである。  

彼は、組織の戦略とアプローチを知り、理解することの重要性を指摘した。  彼は、その反応の仕方で、両極端だった2つの組織を対比させた – Walmart と Googleである。  Walmartの競争戦略は、効率と予見性を基にしている;一方、Googleの競争上の優位性は、変化に早く対応できる能力から来ている。 

Googleのように、組織がビジネスの俊敏性という戦略的ゴールを持つと、アジャイルのプラクティスは、組織的DNAの一部になる必要がある。彼は、組織全体に浸透するアジャイル文化を作り、育てることを仕事とした“Chief Agility Officer” という上級の役職を作ることを推奨した。 

彼は、組織が「大人のアジリティ」を達成する必要があることを話した。すなわち、ルールベースのプロセスに従うことを超えて、反応性、収益性、マーケットシェア、そして顧客満足を促す、広範囲な変化を組織に起こしていくわけである。   

彼は、 大人の俊敏性を彼が言う所の「アジャイル101」と対比させた。これは、アジャイルのプラクティスと技術の基礎を学ぶことと、俊敏性を可能にするチーム環境を作るのである。彼は、組織は、 Agile 101を経験する必要があることを強調した - アジャイルの基礎を最初に学びそして適用せずに、大人のアジリティに到達することはできない。

大人のアジリティとは、組織のゴールと目的に、合わせて実行方法(アジャイル, Scrum, XP, リーン, カンバン, Crystal など)を選択することです。マネージャーや幹部は、製品開発アプローチと戦略的ゴールを結びつけられる組織的なレバーを見つける必要がある。 

マネージメントが組織的な変化を推進し、戦略的な変化をもたらすことに使うことができる主要な4つのレバーがある:

·         多くのことをしない

·         品質

·         モチベーション

·         価値へのスピード

多くのことをしない

この意味は、やるべきプロジェクトを選び、そしてプロジェクト内での 仕事に優先順位をつけ、次にやるべきことで最も優先度が高く、最も価値のあることを確実に選ぶことである。次の仕事に移る前に、次の、最も価値のあることを見極め、それにとりかかる- マルチタスクは、避ける、そして連続した開発のパイプラインを作ることに焦点を当てる。

彼は、自分が取り組んだ、仕事の能率に関するマルチタスクの影響の研究について話した:あるエンジニアが5つの異なるプロジェクトで開発していて、プロジェクトの1つを終わらせるのに2週間(80時間)かかるとすると、全部を終えるのに、48週間かかる。

多くのことをしないとは、また、不要なフィーチャを除くことである-彼は、 Standish Groupの研究を引き合いに出した。それによると、ソフトウェア製品のフィーチャの64%は、まれないし、全く使われない。350億ドルのプロジェクト群をDODが調査したら、書かれたコードのわずか2%しか使われていないことがわかった。また別の調査では、400の商用製品でコードの5%未満しか使われていないことがわかった。

たくさんしないことは、仕事が流れ、コントロールのもとに仕事が進み続け、そして、チームが生産的で効果的になるために重要である。

品質

“品質は、ソフトウェア製品から長期的な価値を得るために、最も重要な要素である”

彼は、自分と Michael Mah氏がカナダの化学装置会社で取り組んだ研究から得た結果を引用した。  アジャイル移行前の6プロジェクトと移行後の6プロジェクトを研究して、以下の違いを見つけた:

 

 

以前のパフォーマンス

現在のパフォーマンス

改善の割合

プロジェクト コスト

280万ドル

110万ドル

-170万ドル (-61%)

プロジェクト計画

18 ヶ月

13.5 ヶ月

-4.5 ヶ月(-24%)

累積欠陥

2,270

381

-1889 (-83%)

人員

18

11

-7 (-39%)

彼は、別の研究を引用した、欠陥レベルを11%減らすことで、タイム・トゥー・マーケットが58%改善した。

これらの改善は、欠陥を減らすことによって達成できたのである。 

彼が、非常に熱心なのは、品質に焦点を当てることがプロジェクトの結果に及ぼす影響についてである-欠陥レベルを下げれば、価値へのスピードがより速くなるのである。

彼は、重要な価値へのスピードの推進力として、品質の2つの側面について話した -信頼性(いかに効果的に、そして一貫して、製品がなすべきことをやるか) そして、適応性(ニーズの変化に応じて、いかに容易に製品を変えることが可能か)である。

彼は、製品が基本的に保守不可能な点に達するまでの非常に短い間に、いかに技術的な負債が増えていくかについて、話した。製品ライフサイクルにおいて、技術的負債に早くそして、常に対処しないと、すぐに機能的に破綻した製品になり、コスト効果的に維持できなくなり、変化するビジネス ニーズにあうように、変わることができなくなる。

彼が言うには、アジャイル マネージャの役割で最も重要な面の一つは、製品における技術的負債の状態をモニターし、そして、政策とアプローチを整備して、技術的負債が被るレベルを抑えたり、減少したりすることである。

動機づけ

モチベーションは、内因性で、外因性ではない -伝統的な動機づけのアプローチは、アジャイルの環境では、役に立たない。彼は、正しい動機づけの重要性を議論している。そして Daniel Pinkの本 Drive に言及して、より良いパフォーマンスと自己満足に導く3つの要因をその中で、特定している:

  • 自治
  • 熟達
  • 目的

 Highsmith氏は、効果的なアジャイルチームの働き方をこれらの動機づけの要因に結びつけている

  • 自己組織的なチームは、自治を示し、推進する
  • 高品質な仕事に焦点を合わせることが、熟達を促進する
  • 高い目標に繋がるプロジェクトのビジョンをはっきり定義することが、目的を提供することになる

 アジャイル マネージャは、これらの動機づけ要因が、 前面に出てきて、チームのパフォーマンスが向上するような、プロジェクトやチーム環境を作る必要がある。

価値へのスピード

価値へのスピードとは、製品を市場に早く出荷するための組織の能力である。2週間のイテレーション後に製品がデプロイできるようにビルドしたのに、 もし開発者と運用者の間の壁によって、デプロイ プロセスがそれから6ヶ月もかかっていたら、アジャイル チームとして、良いとは言えない。  組織のプロセスは、端から端まで、早いデプロイと価値あるシステムの統合を実現するために、アジャイルになる必要がある。

彼は、ビジネス反応性の3つのレベルについて話した。-

  • 継続的開発-アジャイル チームは、一般にこれをコントロールしており、反復的で、漸増的な開発手法により、ソフトウェア製品を頻繁に出荷できる。
  • 継続的統合-多くの組織は、これを実行するには、技術的な課題を克服する必要があり、包括的なテストの自動化を行う。(60000シナリオを実行、60ではない!)
  • 継続的デプロイ-最先端の組織は、製品の使用環境に、「ワンクリック」で直接デプロイでき、ビジネス ニーズに対して、ほとんど即座に反応できる。 

彼は、マネージャーが「アジャイルをやる」のを止め、「アジャイルである」ことを始める必要がある-組織において、トップからアジャイルの哲学とアプローチを受け入れ、マネージメントが変化の一部となり、顧客や株主へ価値を提供する、必要があることについて話した。

彼が言うには、効果的なアジャイル マネージャは、バランスの必要性を理解していて、チームが、曖昧さ、不確かさ、そしてリスクに取り組むために、正しいバランスを見出す、という課題に取り組むのを助ける。予見性と適応性の間のバランスを見つけることである。

 

効果的なアジャイル マネージャは、明確な決定を下し、自己組織のチームを支援し、権限を与える。そして同時に、チームがその中で、働かなければならない制約も課すのである。


 

どうしたら、効果的なアジャイル マネージャをつくれるか、そして、彼らは、どのようにして、組織を「アジャイルである」ようにできるのか?

 

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