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Steve Denning氏、顧客の喜びについてAgile 2011で講演

作者 Shane Hastie , 翻訳者 笹井 崇司 投稿日 2011年9月11日

セクション
エンタープライズ・アーキテクチャ,
プロセス/プラクティス
トピック
Agileの採用 ,
Culture Change ,
Agile in the Enterprise ,
ビジネス ,
Agile ,
マネジメント

原文(投稿日:2011/09/03)へのリンク

経営コンサルタントで多数の著書のあるSteve Denning氏は、Agile 2011カンファレンスで2つの講演をした。
Making the Entire Organization Agile(組織全体をアジャイルにする)  
Creating Customer Delight(顧客の喜びを生み出す)  

最初の講演は、大企業において数多くの優れたアイデアが失敗するのはなぜか、具体的事例をあげた説明から始まった。彼は「20世紀のマネジメント」企業における、知識マネジメント、リーン生産方式、優れたマーケティングアイデア、イノベーション、それからもちろん、アジャイルについて調べた。
彼によると、伝統的なマネジメントは互いに連動した5つの原則に基づいているという。

  1. 企業の目的はお金を生むアウトプットを作り出すことである
  2. マネジャーは個人をコントロールする者として振る舞う
  3. 仕事は管理者層と官僚機構によってコーディネートされる
  4. 「大切なのは効率である」
  5. 指示によってコミュニケーションする

これら5つの原則は、21世紀の組織にとって非効率であり、実際には有害で、これを採用し続けた組織は最終的に失敗するだろう、と説明した。


彼の主張は明確かつシンプルだ。伝統的なマネジメントは壊れている!

  • 伝統的なマネジメントの失敗について、自らの主張を裏付ける証拠を次のように並べた。
  • 1965年以降、資本利益率は75%に落ちている。
  • Fortune 500企業の平均余命は15年まで下がり、5年へと向かいつつある。
  • 能力を十分発揮できている労働者は5人中1人しかいない

ソース: Deloitte’s Center for the Edge: The Shift Index, 2009


それから彼は、21世紀のマネジメントのために、新しく緊急にすべき5つのことと目標をあげた。

  1. 新しい組織目標
  2. 新しいマネジャーの役割
  3. 新しいコーディネーションの仕組み
  4. 価値から価値(複数)へのシフト
  5. 新しいコミュニケーション方法

これら緊急にすべきことについて、さらに詳しく述べた。
新しい組織目標は、顧客を喜ばせることでなくてはならない。顧客の要求を満たすだけでは、もはや十分ではない。「私たちはあなたの問題を理解して、その解決を手伝いたいのだ」と示すことにより、組織の全員が顧客を喜ばせる方法、ワクワクさせる方法に注力する必要がある。これは(それを支援する)新しいプラクティスや(それを支援する)新しいマーケティングのやり方、(助けになるかもしれないが、障害になることが多い)効率といったものを超え、あらゆる組織活動を通して顧客を喜ばせることに組織全体が注力するということだ。
彼はこう指摘した。

目標は、顧客を喜ばせることです。
「お金を生むこと」は目標ではありません。
「アジャイルになること」は目標ではありません。
「動くソフトウェア」は目標ではありません。
アジャイル、スクラム、動くソフトウェアといったものは、目標を達成するための手段なのです。
全員が目標にフォーカスしなければなりません。

 

顧客の喜びにフォーカスすることがどれだけ顧客ロイヤリティと利益を生み出すのか、彼はさまざまな組織の事例を挙げた。一例は、オンライン靴販売のZapposだ。

彼はこう言った。

  • Zapposは年中無休・24時間営業である。
  • これは効率よい方法ではない。
  • 顧客はいつでも買い物ができることを喜んでいる。
  • 夜中までに注文すると8時間後には配送されて、顧客は喜んでいる

もうひとつのアプローチは、機能あふれの犠牲にならないよう、製品やサービスをシンプルにすることだ。 (シンプルなコントロールしかできないiPod vs. 家族の誰ひとりうまく使いこなせない107ものボタンを備えたDVDコントローラ)。正しい問題を解こう。同時に多くの問題を解こうとして混乱を生んではいけない。

すばやく届けるということも重要な原則のひとつだ。顧客はたいていの場合、「完成した」製品のために待つよりも、少しでもすばやく市場に出して得られる結果の方を喜ぶ。

顧客心理を読んで、フォーカスグループやサーベイに頼らず、顧客ニーズを予測しよう。「AppleにiPod、iPhone、iPadを作るよう依頼した人はいない」。

顧客の言うことではなく、顧客のやることを評価しよう。彼は「New Coke」の話をした。 – フォーカスグループは味がよくなったので売れるだろうと報告したが、現実はこれまでの味に戻せというクレームの嵐だった。

顧客を共同作者にしよう。カスタマイゼーションと製品コンフィグレーションというのは、顧客の喜びを生み出すという市場にフォーカスした。これを非常に効率よく届けるのにコンピュータテクノロジが活用できる。

価値を生まないことをするのはやめよう。ムダを省いて、顧客を喜ばせることにフォーカスしよう。

測定しよう。顧客の喜びは測定可能だ。ここで彼は「Net Promoter Score」について話した。これはFred Reichheld氏が彼の著書「The Ultimate Question」で説明したコンセプトで、組織が顧客のフィーリングを測定することがどれだけ重要であるかを示している。

彼が説明する顧客の喜びをまとめると、「付加価値を次々と顧客に提供すること、それをすばやく届けること」だ。

アジャイル手法を使うと顧客を喜ばせることができ、顧客の喜びを届けることにフォーカスしている組織は現在もっともお金を生んでいる。彼は、顧客の喜びにフォーカスすることで、結果として大きな利益を上げている組織として、Amazon.com、Apple Computer、Salesforce.comを挙げた。

顧客の喜びにフォーカスするには、これまでとはまったく異なる組織運営が要求されるため、さらに4つの原則を実施する必要がある。

新しいマネジャーの役割

人の行動をコントロールする者から自己組織化したチームの実現者へ

新しいコーディネーションの仕組み

階層的な官僚機構から動的なつながりへ – 短期サイクルによるクライアント駆動の敏感なアクティビティ

価値から価値(複数)へのシフト

単一収益への集中から継続的改善と徹底的な透明性へ

新しいコミュニケーション方法

コマンドとコントロールから大人同士/仲間同士の会話へ

 

こうした動きは連動し、相互に補強しているため、マイナーな変更をしたり、ひとつを導入しただけでは十分ではない、と彼は主張する。 – 現在本当に成功している組織は、同時にすべてを導入している。

アジャイルプラクティスの導入は、これら5つのうち3つに取り組んできたと彼は述べた。– アジャイルはうまくいっていたが、顧客の喜びへのフォーカス、命令から会話への動きという観点から、さらなる取り組みが必要だと言う。

最後に、アジャイル支持者による行動を呼び掛けて、講演を終えた。

革新をリードしよう!
• 変化を具現化しよう
• 戦略であれ(戦略をサポートするのでなく)
• リーダーシップストーリーテリングをマスターしよう
• 将来につながるマネジメントに挑戦しよう
• ビジョンを共有する人を後押ししよう
• 将来に責任をもとう

このセッションのPDFはここにある。

彼のもうひとつの講演は12のエクササイズからなる1時間のワークショップだった。参加者はセッションで説明した原則とツールに基づいて、顧客を喜ばせる方法を見つけることにチャレンジした。このセッションのPDFはここにある。



顧客の喜びを組織の唯一のフォーカスとして受け入れられるだろうか? あなたの組織はそうしてきただろうか、結果はどうだっただろうか?
 

Shane Hastie Australia & New Zealand の Software Educationで働くアジャイルコーチ、トレーナー、コンサルタント。

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