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パーソナルクラウドの幕開け

原文(投稿日:2013/09/12)へのリンク

Simpleの創業者で、元TwitterエンジニアのAlex Payne氏がsovereignをリリースした。これはパーソナルクラウドを作るためのオープンソースのAnsibleプレイブック(playbook)で、ユーザが巨大なクラウドカンパニーから、自分でコントロールできるサービスへと引っ越すのを可能にする。

パーソナルクラウドのポイントは、ハイパースケールサービスプロバイダの手の内ではなく、ユーザのコントロール下にデータを置くことだ。Payne氏はGoogleのようなプロバイダから引っ越す理由として、プライバシー上の懸念、オープンスタンダード、製品の減価償却、ソーシャルネットワーク機能との不要な統合について言及している

Sovereignは人気のある各種オープンソースアプリケーションを利用して、電子メール、カレンダー、Webホスティング、IRC、VPNといったサービスをまとめたものだ。セキュリティ(ファイル暗号化、ファイアウォール、侵入防止)、モニタリング、バックアップのためのコンポーネントも含まれている。これらはすべて手動でインストールできるが、DevOpsツールを使うとさらに便利になる。ここではChefやPuppetのようなツールよりもAnsibleが選択された。というのも、インストールするのにローカルクライアントを必要とせず、SSH経由のリモートマシンで動作するためだ。今のところはまだ、クラウドサービスプロバイダにサインアップする方が便利かもしれないが、複数のアプリケーションやサービスを手動でインストールして統合するのと比べれば、はるかに便利だ。

sovereignのようなパーソナルアプリケーションクラウドは、IaaSやVPS、プライベートサーバ、仮想マシンで動かすことができる。IaaSやVPSを使う場合には、セキュリティやプライバシーに関してある程度、サービスプロバイダを信頼しなくてはならないが、プライベートホスティングの場合には、セキュリティやプライバシーなどはユーザの手に委ねられる。インターネット接続とストレージのコストも差別化要因になるだろう。

ある種のサーバを必要とするということは、パーソナルクラウドを一般ユーザの手が届かないものにする。つまり、当分のあいだ、その導入はテクノロジーマニアとスモールカンパニーからもたらされるということだ。もし私たちのテクノロジーが通常のムーアの法則に従うなら、やがてサーバコンポーネントはスケールアップ&アウトし、個人のニーズ(携帯電話などに分散して仮想化されたコンポーネントとして)や企業のニーズ(スケール可能なプライベートクラウド)を満たすだろう。これは企業にとって、アプリケーションとインフラストラクチャを保守するスペシャリストから離れ、事前に統合された自動スケールするソリューションへと移行することを意味している。

生産性アプリケーションはパーソナルクラウドの手始めにすぎない。ユーザがビデオストリームを生成するデバイス(Google Glassなど)やIoT (Internet of Things) につながるデバイスを導入するにつれて、ユーザによるデータコントロールが促進され、ストレージへのネットワークパスは短くなるだろう。この領域におけるチャンスを活かそうと、CTRLioのようなスタートアップが登場し、NoBackendというアイデアが勢いを増している。どのサービスにデータを格納するか、ユーザが選ぶのだ。(QCon San Francisco 2013には、NoBackendに関するトラックがある)。Cory DoctorowRichard Stallmanのようなクラウド懐疑論者のコストとコントロールへの反発は正しかったのだろう、あるいは、私たちは中央集権モデルから分散モデルへのもう1つの産業変化を見ているのかもしれない。

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