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効果的なコーディング文化を作り維持するには

原文(投稿日:2015/04/25)へのリンク

ブタペストで開催されたCraft Conference 2015で、Sven Peters氏は、効果的な‘コーディング文化’を創出し、維持するためのガイドを発表した。氏は次のような点を推奨している。組織の価値、チームの価値を定義し、定期的に振り返ること。開発者が革新を起こすための時間を確保し、成功を祝福し、コミュニケーションとアクションを透明にすること。顧客のニーズに焦点が当たるようにすること。
 
AtlassianのエバンジェリストであるPeters氏は、開発者は1日中コードについて考えており、会社の文化については考えないのが普通だ、と話し始めた。しかし、会社の文化を作ることは、プロジェクトを成功させ、ハイパーフォーマンスなチームと組織を作る上でとても重要だ。氏によれば、無料の食事やビール、ゲームを提供することは文化ではない。文化はもっと深いもので、信念やモラル、習慣を含んでいる。テーラーシステムが、開発文化から組織の重要さを奪ったのではないか。組み立てラインの喩えや階層的なマネジメント構造がコミュニケーションと協力を奪ったのだから。
 
無料の食べ物やビール、ゲームは‘文化’ではありません。文化はもっと深いものです。
 
Peters氏は、‘イノベーションか死か’という考えは、陳腐になっており、開発者が革新的なアイディアを生成するために与える必要のあるリソースは時間だ、と言う。Atlassianは四半期に1度、‘ship it’デイを設け、24時間通常の業務からはなれ、イノベーションに注力している。幸せの文化を作るのも重要だ。企業全体の社会的活動、祝福、そして、チームビルディングデイを使って組織全体の関係を作り、互いの強みと弱みを把握するのだ。
 
定期的に振り返りを行い、失敗から学び、チームの成功を祝うのも重要だ。氏が言うには、組織のすべての人を巻き込むためのケアが必要だ。製品開発に直接的に貢献する必要がないチームもあるからだ。
 
月日の流れるのは早いです。立ち止まって周囲を見渡し、自分たちが何をしているのか振り返るのが良いでしょう。
 
例えば、顧客サービスチームの成功を讃えるには、2週間に1度ミーティングをして、顧客とのやり取りの中でチームが提供する価値を超えた‘文化的ロックスター’を特定し讃える。Atlassianでは、‘ムードアプリ’を開発し、このアプリを使って組織全体の日々の活動の幸せのレベルを追跡している。
 
'バランスの取れた情熱'という文化も利点がある。製品を開発することで組織内の人々は幸せになるかもしれないが、顧客を忘れてはならない。Atlassianは複数の‘ペルソナ’を開発して、製品のユーザの代理にし、職場に配置して、定期的にその重要さを思い起こさせるようにしている。ペルソナカードは技術者であるユーザもそうでないユーザも含んでいる。そして、製品の機能が変更されたり、新しい製品が作られたりしたときに、問うべき質問も含まれている。
 
情熱のバランスを取りましょう。何かを作ることは楽しいことです。しかし、素晴らしいソフトウェアを作って顧客を幸せにするのが私たちの目的です。
 
Atlassianは、組織全体へ応用する‘エンジニアリングの価値’を構築した。悪いコードは書かない、ソフトウェアを悪化させる変更に対しては‘ノー’という、常により良いソリューションを探す、ということだ。氏はこれらの価値は明文化され組織全体に共有されなければならない。簡単に価値に言及し、適切な変更をできるようにするためだ。
 
Peters氏は組織の成長に従ってスケールする文化を作る上でいくつかアドバイスをしている。透明性が重要。電話での会話、メール、職場でのお井戸端会議は文書化しない、検索できるようにしない。Atlassianはメッセージングソフトウェアのチャットルームを使って透明性を実現している。各チームがチャットルームを持ち、また、機能毎や専門性毎のルームもある。専門家に助言を求めるのに使うのだ。チャットルームは開発システムと統合されており、‘ボット’などのツールで、作業をコーディネートしたり、配置を初期化する。
 
Peters氏は、Amazonの‘2枚のピザ’のチームサイズの話を引き合いに出しながら、Atlassianでの最適な開発チームの大きさはさまざまな能力を持った6人から8人である、と言い、講演内容をまとめた。Atlassianは自主性と信頼、透過性が組織の価値になっており、‘実行すること’がルールとなっている。Atlassianのコードベースのある部分はひとつのチームが責任を持っているが、コードレビューでは、‘内部オープンソース’モデルが使われており、不要な官僚的振る舞いで進捗が遅くならないようにしている。
 
Peters氏は自身の経験をふまえ、透明性によって、制御が簡単になり、組織の価値を定義して定期的に振り返ることが、健康的な文化を作り、維持する上で重要であると、結論付けた。健康的な文化の中で、人々は楽しく働き、顧客のニーズへの注目も失われないのだ。
 
製品は生まれては消えていきます。しかし、文化はそのままです…
 
この講演’の詳細はCraft Conferenceのウェブサイトで確認できる。また、Peters氏はInfoQで効果的な コーディング文化を作ることについて、記事を執筆してくれる予定。

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