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ワークライフバランスの考え方を変える

原文(投稿日:2019/09/12)へのリンク

"ワークライフバランス"ということばは時代遅れだ。仕事と生活を結び付けているものが、これまでと常に同じであるとは限らない — Jennifer Cox氏の"Women in Tech Dublin 2019"での発言だ。多くの場合、それらは時に重複し、時に衝突することで、分離することを心理的に難しくしている、と氏は言う。"バランスを取ることよりも、統合し、整合する方向に向かって、考え方をもっとシフトしなければなりません"、というのが氏の主張だ。

勤務時間以外の時間の活用や、雇用者による社員へのアピールという面が強調されるあまり、ワークライフバランスの真の目的が見失われていることが多いのではないか、とCox氏は言う。

ワークライフバランスを見出すというのは、ヨガの時間を作ることや、子供たちと充実した時間を過ごすことだけではない、それ以上のものなのだ、とCox氏は主張する — ワークライフバランスとは、すべてにおける精神的なバランスなのだ。これを実行するためには、自分が何に時間を費やしているかをじっくりと確認して、自分を自分たらしめているものが何かを知ることが不可欠だ、と氏は言う。"自分の時間に対する予算のようなもので、それを賢明に使うことが重要なのです。"

1日の時間を増やすことはできないが、時間をどのように費やすか、どのタスクにどの程度投資するかを慎重に選択することは可能だ。ここにおいて自由の意識が始まり、人間的な成長が生じるのだ、と氏は言う。心理的な始まりだ。

企業にできるのは、柔軟な労働時間に対する社員の関与を増やし、在宅勤務を許可し、勤務時間ではなく目標の観点から仕事を評価することだ、とCox氏は言う。

"Women in Tech Dublin 2019"で講演した、TenableのセキュリティエンジニアであるJennifer Cox氏に、仕事と生活の統合と整合についてインタビューした。

InfoQ: 自由度を高め、個人の成長を可能にするために、どのような構造を整備することができるのでしょうか?

Cox: 構造に関しては、個人としての自分のために時間を割くことが重要です。現在のスケジュールを記録してみてください。テレビを見る、子供をAからBまで車で連れて行く、などに費やした時間をすべて加えます。次に、あなたの時間がどのように費やされているかを確認するのです。少しでもよいですから、自分に時間を割り当ててください。以下にあげたのは、重要度による優先順位です。講演では、これらすべてを適合させるために、明確かつ直接的なアプローチで捉える方法について説明する予定です。

  • 睡眠
  • 成長のための時間
  • 生活
  • 仕事

InfoQ: 従業員の関与を高めるために、企業には何ができるでしょうか?

Cox: 以下のようなことです。いくつかは、当然に思えるかも知れません。

  • 仕事時間に柔軟性を持たせる。個人が成長するために必要なものにアクセスできるようにするには、始業時間を遅くするか、終了時間を早くすることが不可欠です。職場に柔軟性の余地がなければ、生産性が低下します。
  • 在宅勤務の導入。週に1回は全員参加のオフィスディを設けて、チーム全員が集まることをお勧めしますが、その他の日については、自宅あるいはオフィスで働く自由を推奨するべきでしょう。それによって、次のような多くのことが可能になります。
    • 通勤ストレスの軽減
    • 仕事を犠牲にすることなく、必要な時に家族のそばにいることができる
    • 必要な予定に関する生産性を実現する
    • オープンオフィスの静かな職場での作業
    • 費用の削減
    • 快適性 — リラックスした社員は生産性の高い社員である
    • 雇用側のメリット — チームの生産性と信頼性の向上、オフィススペースのコスト削減、顧客のための可用性向上
  • 労働時間ではなく、目標の観点から仕事を評価する。私はこれまで、仕事をしながら、いくつかの研究プロジェクトにも取り組んできました。この仕事は、夕方するのに適していました。1日2時間作業するつもりでしたが、たいていはその2倍働いて、週末に家族のための時間を補っていました。プロジェクトは、指定された期限までに結果を出す必要があったのですが、それが守られる限り、どのように、あるいはいつ、それを行うかは重要ではなかったのです。

InfoQ: ワークライフバランスは流動的なプロセスであって、仕事と生活の性質がまったく変わらないということは考えられません。適切なバランスを見つけて、絶えず調整できるようにするには、どうすればよいのでしょうか?

Cox: 変化をすぐに反映するためには、障害が発生する可能性を受け入れる必要があります。最良の計画は時として、予期せぬことによって破棄されるものです。あなたの成長の糧となるものがあなたを育ててくれる、ということを確実にするための時間を確保しなければ、あなたの立っている場所は簡単に崩れてしまいます。

仕事と生活が"動き続ける目標"であるならば、自分にできる部分を取り出して、それらを一定に保つことが重要です。リストの一番上には、あなたを幸せにするようなことをするために費やす時間があるべきです。私にとってのそれは、末の子供を抱擁したり、ポッドキャストを聴いたり、フラットパックの家具を作ったりする時間です。

InfoQ: ワークモデルは今後、どのようなものになるでしょうか?

Cox: より流動的で、顧客や社員、雇用主のニーズに合わせて調整されるものになるでしょう。9時から5時というオフィス時間のデスクベースとして引き続き定義される役割は、非常に小さなものになると思います。今は、真夜中に車両税を支払ったり、風呂の中で学費を払ったり、バスに乗っている間にレストランを確認することが可能な時代です。より高い柔軟性が求められる製品やサービスに消費者がアプローチしている以上、企業や製品も柔軟でなくてはなりません。

設計のように、測定可能で必要なマイルストーンを持つプロジェクトに取り組む企業であれば、期限を設定することは理にかなっています。しかし、午前6時から午後2時まで自宅で仕事をして、学校へ子供を迎えに行ける方が生産的であるならば、なぜ9時~5時というポリシを厳守しなければならないのでしょう?期限までにプロジェクトが完了するのであれば、いつ、どこで、どのように作業をするかは問題ではないはずです。

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