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2011年のHTML5ウィッシュリスト:Michael Mullany氏とのインタビュー

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原文(投稿日:2011/01/24)へのリンク

SenchaのMichael Mullany氏は2011年の間にHTML5に恩恵をもたらすであろう内容のリストを公開した。InfoQはMichael氏にインタビューを行い、氏のビジョンに関してさらなる詳細を知ることができた。

Michael氏のオリジナルのリストは次のものを含んでいる。

  • -webkitエフェクトをCSS3にもちこむ持続的な努力
  • CSS3:よりリッチなエフェクトを持つツールボックスに
  • モバイル向けのパフォーマンスの高い position:fixed
  • GPUアクセラレーション
  • デバイスへのより深いアクセス
  • モバイルブラウザ向けのより優れたデバッグツール
  • Web Socketの安定化
  • 完全なCSS3サポートを伴ったIE9
  • HTML5コーデックでの休戦
  • WebSQL標準化の再始動

InfoQ: CSS3仕様に取り入れるべきと考えるもっとも重要なエフェクトをリストアップしてもらえますか? そのエフェクトは開発者にどのような新しい機能性を提供してくれるのでしょうか?

Michael氏: ブラウザ非依存に実装されたモジュールの形で得られることが行い得る群を抜いて重要なことです :-) しかし、私たちが今最も望んでいるのは、標準化の道筋に乗っていないWebKit特有のエフェクトをCSSドラフトに持ち込むことです。この中には、高度なテキストスタイリング、マスク、フォントエフェクトを含みます。

InfoQ: IEが新しいWeb標準や技術を採用するスピードは遅いですが、いつになったらこれらのエフェクトがデスクトップ開発者にとって意味のあることになると考えますか?

Michael氏: IEが機能の実装にもたつけばもたつくほど、もっとも保守的な企業でさえモダンブラウザの機能を求めてChromeやFirefoxに目を向けるようになるでしょう。私たちは(Sencha Ext JSのような)フレームワークが新技術採用の最前線にいると考えています。なぜなら、それらのフレームワークはVML、filterといったIE特有の技術を使ってIE互換な実装を作成し、開発者がIEの技術スタックを学ぶ必要がなくしているからです。

InfoQ: あなたはSencha Touchのようなフレームワークが位置を固定されたUI要素を扱うために必要とされていると述べています。それはなぜですか?

Michael氏: モバイルWebKitは固定位置UI要素をサポートしていません。これをサポートするCSSがブラウザで無効になっているからです。これはブラウザがデスクトップサイズの画面用に設計されたWebページのパン/ズームに最適化されていることに原因があります。

InfoQ: あなたはよりすぐれたデバッグツールが必要と述べていますが、SenchaはすでにAndroidデバイス上でのリモートスクリプトでバッグ用ソリューションを提供しています。近い将来どのようなツールをcanvas、animation、WebSocketなどのHTML5特有の機能向けに期待すべきなのでしょうか?

Michael氏: デスクトップ向けにはたくさんのデバッグツールが存在しているので、特別にツールを構築するというよりはモバイルブラウザ内部へのアクセスができるかどうかの問題です。

InfoQ: WebSocketの採用に向けての問題、あるいはその仕様そのものの問題は何でしょうか?

Michael氏: 問題はWebSocketの仕様が発展中であるにもかかわらず、ブラウザがWebSocketプロトコルの新しいバージョンが出るたびにリリースしていることです。たとえば、Chrome 4はWebsocketの非常に初期のバージョンとともに出荷されていて、そのバージョンはすでに過去のものです(幸運にも、おそらく誰もすでにChrome 4を使っていませんが)。iPadは当初出荷されたときにはWebSocket実装を含んでいましたが、その後削除され、さらにその後再度追加されました。Firefox 4ベータも当初WebSocket実装を含んだ形でリリースされましたが、次のセキュリティ上の問題が出てきたのを受けて削除されました:最近、ごくわずかな割合(5%未満)のプロキシサーバがWebSocketが利用するHTTPメカニズムを正しく扱わないことがわかったのです。このことによりそれらのサーバが攻撃者のペイロードを供給することに利用される可能性が出てきました。これは間違いなくプロキシサーバのバグですが、その論文の著者は、WebSocketはこのメカニズムを一切使うべきではなく代わりに別の手段を利用することを推奨しています。

InfoQ: ビデオコーデックに関するあなたの望みは、GoogleがH.264の打ち切りを発表してまさに実現しようとしているように見えます。一方、H.264は無償のインターネットコンテンツに対して利用可能でかつロイヤリティフリーであるのに、コンテンツプロバイダがどうしてWebMへの移行にお金をかけたいと思うでしょうか? もしあなたが有償のコンテンツを提供しているのであれば、Flashだけで利用可能な、デジタル著作権管理(DRM)、高度なストリーミングオプションなど必要としませんか?

Michael氏: H.264はビデオを配信するのは無償ですがエンコーディングやトランスコーディングは無償ではありません。ライセンス使用料の支払いが必要です。FlashやSilverlightはともに高度なDRMやストリーミングビデオオプションを提供しています(私はNetflixのXbox向けストリーミングクライアントがSilverlightベースで再バッファリングなしにストリーミングレートの動的調整をする機能を提供していると信じています)。 ポイントはDRMに関心がないすべての人たちのために邪魔されることのないコーデックを必要としているということです。

InfoQ: あなたはW3Cがリレーショナルブラウザストレージ(WebSQL)のサポートを打ち切り、階層的ストレージ(IndexedDB)を支持した根拠は何だったと考えていますか? どうしてWebSQL標準は活動が再開されるべきだと提案しているのですか?

Michael氏: 根拠は明らかです。技術を標準にするためには、その仕様から構築される2つの独立した実装が必要になります。完全な仕様という考えの中心にあることは、誰もがその仕様を採用して仕様に従うどんなコンテンツとでもうまく動作するブラウザを記述することができるということです。WebSQLの場合にはすべての実装は単にSQLiteをブラウザに組み込んだものです。だれも新しいSQL実装をスクラッチから書こうとはしないのです。くわえて、Mozillaキャンプから、SQLは重厚で洗練されていないクエリメカニズムであり、存続させ続けるべきでないものという考えがあるように感じます。

InfoQ: 他に、2011年にHTML5に対する望みはありますか?

Michael氏: より高速なcanvasがリストの上位に来ると考えています。

さらなるHTML5についての見識を得たければ、QCon Londonに参加しよう。そこでは、“プラットフォーム HTML5”に焦点をあてたトラックが準備されているからだ!

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