世界中の人々が模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)に反対しているようだ。ACTAは著作権違反や知的財産権の侵害を防ぐための条約だが、反対者は市民の権利が侵害されるのではないかと恐れている。そしてこの条約はソフトウエアエンジニアにも大きな影響を与えるだろう。
wikipedia.orgはACTAを次のように説明する。
模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)は多国間の協定であり、知的財産権の執行の国際標準を策定するための条約である[3]。模造品やジェネリック医薬品やインターネットでの著作権侵害に対する国際的な法的枠組みを確立することを目的とする。また、世界貿易機関や世界知的所有権機関や国連のような既存の組織とは別に新しい専門機関を設立することも視野に入れられている。
この条約が注目を浴びたのはWikileaksによってディスカッションペーパーが公開されてからだ。
ACTAの“デジタル環境での知的財産権の執行”に関わるセクションがソフトウエア開発者が直面する部分だ。デジタル環境でこの条約を適用するため、システムは監視が受けられるようにしなければならない。データを転送したり提供したりするアプリケーションやサービスは知的財産権の保護という点からも制御されなければならない。Free Software Foundationが恐れるようにオープンソースソフトウエアを作成するのに必要な自由が失われる可能性がある。P2Pやファイル共有ソフトウエアも使えなくなるだろう。他にも問題が起こるはずだ。アメリカ映画協会のような組織が関わっているのに、ひとつの市民団体も関わっていないのも大きな問題だ。また、クラウドアプリケーションやSOAアプリケーション、ファイル交換アプリケーションやWikiの開発にも大きな負担になるだろう。
ACTA、SOPA、PIPAのような条約や法律を導入する圧力が高まっているのは間違いない。特にソフトウエア開発は大きな影響を受けることを認識するべきだ。そうでなければ高い代償を払うことになるだろう。