BT

最新技術を追い求めるデベロッパのための情報コミュニティ

寄稿

Topics

地域を選ぶ

InfoQ ホームページ ニュース 意向に基づくリーダーシップ

意向に基づくリーダーシップ

ブックマーク

原文(投稿日:2015/11/18)へのリンク

意向に基づくリーダーシップは情報を持っている人に権限と意志決定を移譲するというリーダーシップだ。Jenni Jepsen氏によれば、能力と明晰さを持っている人に権限を渡すことは、素晴らしいことが生まれる環境を作るのと同じだ。

Agileコンソーシアムは21世紀型のリーダーシップについてのセミナーを開催している。David Marquet氏は、書籍"Turn the Ship Around!"の著者であり、意向に基づくリーダーシップについて基調講演で発表する。また、Jenni Jepsen氏は"Empowering people is impossible"というタイトルで講演する予定だ。このイベントはInfoQでも取り上げる。

InfoQはJepsen氏にインタビューし、意向に基づくリーダーシップの強みと弱み、影響力と権限を与えて意志決定を広めること、力が湧くと感じる環境の作り方について話を聞いた。

InfoQ: 意向に基づくリーダーシップがどのように動くのか簡単に教えていただけますか。

Jepsen: 意向に基づくリーダーシップとは、L. David Marquet氏が提唱したものであり、人々が意志を交換しあい、仕事に価値と誇りを感じ、組織とその目的への適合を理解し、啓発され動機付けされ責任を取ることができる環境をどのようにして作るのか、ということです。情報を持つ人に権限と意志決定権を渡します。意向に基づくリーダーシップを可能にする柱はふたつ、能力と明晰さです。必要な能力を持ち、目的を理解すれば、意志決定をする力を持つべきです。能力と明晰さを持った人に権限を与えるということは、素晴らしいことが起きる環境を作るということなのです。

InfoQ: 意向に基づくリーダーシップの強みと弱みについて考えを聞かせてください。

Jepsen: このリーダーシップの強み、つまり、あらゆるレベルにリーダーをおくということの強みは、皆を結びつけることにあります。能力と明晰さ、そして意志決定権が私たちが本来持っているモチベーションを促進させます。弱点は、明晰さを提供するものについて、人々が過小評価することですね。私たちは、あることを実施する理由やそれが全体の戦略的ゴールにどのように適合するのかについて理解していなくてはなりません。しかし、多くの場合、トップマネジメントは組織の他のメンバを巻き込んで目標を設定したり、目的の理解に務めたりはしません。人々が意志決定する能力を持っていたとしても、明晰さがなければ賢い決定をするのは難しいのです。

InfoQ: 許可をを求めることなく、自分の意図を共有するということについて、何か例はありますか。

Jepsen: もちろんです。私たちが"…というふうにしたいです。"と言うとき、他の人に自分がしようとしていることを知らせようとしています。これにはふたつの目的があります。ある情報を持っている人が貢献できるということ。そして、アクションの周りのコミュニケーションが増えるということです。許可を求めるのではなく、情報を伝えるだけです。例えば、私が一緒に働いていたスクラムマスタの1人がリーダーに、"ビジネスの利害関係者向けにワークショップを開催してリリース計画についての理解を深めます"、と言いました。普通、このような場合は彼のリーダーが関係しますが、彼はリーダーに知らしめることによって、意志決定と責任を引き受け、かつ、リーダーにはコメントしたり、巻き込まれたりする機会を与えたのです。リーダーは参加しませんでしたが、情報を持っているので、権限はあるということを感じることができました。これによって信頼関係も生まれるのです。

InfoQ: 影響と権限を感じるとき、なぜ人々はオープンで創造的になるのでしょうか。

Jepsen: 影響と権限は私たちに生来備わっている動機を促進させます。動機付けがされていると感じると、ドーパミン(報酬のシグナルを出す神経伝達物質)が脳内に放出されます。脳を開くのはこの"報酬のラッシュ"なのです。合理思考を司る前頭前皮質により多くの酸素が流れます。目的志向の振る舞いや確信的な振る舞いを生み出す集中した思考を司るのはこの部位なのです。影響と権限を持っていると感じるとオープンになり創造的になるのはこのような純粋な科学に基づいています。InfoQでも、私はこの点についてNeuroscience of Agile Leadershipという記事を書きました。

組織が意志決定と権限を従業員に渡そうとしたとき、何か障害になることはありますか。

Jepsen: 私は今、まさに意志決定と権限を従業員に渡そうとしているリーダーたちと一緒に働いています。彼らは従来の命令制御型の環境でこれを実現しようとしています。最大の障害は、人々の古い習慣です。何をしなければならないのか指示を受けることに慣れてしまっており、多くの人は権限を持つことを恐れます。これは自然なことです。また、変化に対する抵抗もあります。変化の信号は私たちの脳にとって危険なものです。なので、リーダーは人々が安全を感じるように支援しなければなりません。また、変化が小さなステップで起きることを理解させる必要がります。定着させるためには新しい習慣についてポジティブなフィードバックを与える必要があります。

力が湧いてくるような環境を作る方法についてアドバイスをお願いします。

Jepsen: まず、能力と明晰さを強化する必要があります。物理的な環境の中で、人々がするべきポリシーやサインを書いたドキュメントを整えます。権限を与えても大丈夫だと思えるくらい信頼できるようになったら、矛盾するメッセージを物理的な環境から排除します。つまり、何かの指示を与えるようなメッセージです。力が湧くということは大きな目的を明確に理解しており、正しいことをやり、正しい決定をでき、怖がることなく責任を背負えるということです。すべて信頼に関することなのです。

この記事に星をつける

おすすめ度
スタイル

BT