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Microsoftが企業のブロックチェーンネットワーク構築に向けたCocoフレームワークを発表

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原文(投稿日:2017/08/20)へのリンク

先日のブログ記事でMicrosoftは、企業のブロックチェーンコンソーシアムネットワークを対象とした、CoCoという名称の新たなオープンフレームワークを発表した。このフレームワークは、Ethereumなど既存のブロックチェーンプラットフォーム上に位置するもので、ネットワークスループットの向上、新たな機密保持モデルの追加、ネットワークポリシ管理、非決定論的トランザクションのサポートなどに重点を置いている。

Microsoftはこれまでにも、開発者を対象としたコンセプトフレームワークの実証モジュラ形式のブロックチェーンファブリックであるProject BletcheyAzureのEthereum Blockchainアズ・ア・サービスなど、ブロックチェーンテクノロジに多大な投資を続けるとともに、Enterprise Ethereum Allianceの創立メンバとして名を連ねている。これらの経験から同社は、エンタープライズユーザがコンソーシアムやプライベートなブロックチェーンネットワークを構築する際に、いくつかのギャップがあることに気付いたのだ。Microsoft Azure CTOのMark Russinovich氏が次のように説明する

ブロックチェーンテクノロジをビジネスニーズに適用しようとする企業は、既存のブロックチェーンプロトコルの多くが、パフォーマンスや機密性、ガバナンス、必要な処理能力といった面において、企業レベルの要件を満たしていないことに気が付いています。これは既存のシステムが、匿名の信頼できないアクタ間のパブリックなシナリオにおいて、最大限の透明性を備えて機能する – それによってコンセンサスを得られる – ように設計されているためです。

透明性とコンセンサスはパブリックブロックチェーンの重要な要素だが、企業間におけるトレーディングパートナのシナリオの一部では、小売業者や購買発注情報を他のパーティには参照させたくない場合がある。Cocoフレームワークは、ノードとアクタを明示的に宣言することによって、機密ブロックチェーンネットワークをプロビジョニングできるように設計されている。

Cocoは、Intel SGXやWindows Virtual Secure Mode(VSM)など、既存のブロックチェーンプロトコルやTEE(Trusted Execution Envitonment)を活用することで、以下のようなエンタープライズ要件を充足する。

  • データベース速度に準じたスループットとレイテンシ。
  • よりリッチでフレキシブルな、ビジネス仕様の機密性モデル。
  • 分散ガバナンスによるネットワークポリシ管理。
  • 非決定論的トランザクションのサポート。

CocoフレームワークでMicrosoftがターゲットとしている業界には、金融サービス、小売、サプライチェーンなどが含まれている。小売分野でのブロックチェーン採用を促進するためには、パフォーマンスの改善が必要だ。Mojix副社長のTom Racette氏は次のように説明する

当社の小売業ユーザに対してエンタープライズブロックチェーンの可能性を話す上で、既存のサプライチェーンDappコードをCocoフレームワークで実行可能であることは、大幅なパフォーマンスの改善であり、導入への抵抗を軽減するものです。この改善を損なうことなくデータ機密性が加えられることは、スマートサプライチェーンによって当社が目指しているディジタルトランスフォーメーションを実現する手段となります。

Russinovich氏は先日のビデオで、Cocoフレームワークによって実現したパフォーマンス改善に関するデモを行なった。紹介された例は、通常のマルチノードEthereumネットワークとCocoフレームワークを使用したマルチノードEthereumネットワークを、同じハードウェア機器で比較したものだ。テストの実行においては、パブリックEtherneumネットワークからプルした2,000トランザクションがそれぞれの環境に送信されて、トランザクションがコミットされた時点でのスループットとレイテンシ測定が行なわれた。その結果、Cocoフレームワークでは、1秒あたり1,685トランザクションを125.2ミリ秒のレイテンシで処理することができたが、通常のEthereumネットワークのスループットは、1秒あたり8トランザクションを41,679.3ミリ秒のレイテンシで処理するに留まっている。


パフォーマンス改善の理由について、Russinovich氏は次のように述べている。

Cocoフレームワークでは、分散コンセンサスアルゴリズムのメリットを活用しています。これは、トランザクションを極めて迅速かつ安全にコミットすることの可能な、SGX上で動作するプロトタイプをベースとした信頼性の高い実行環境によって実現したものです。

出典: https://www.youtube.com/watch?v=8s6JMmGJ-dY

Cocoはオープンフレームワークであるため、任意のブロックチェーンプロトコルに対応可能である。MicrosoftではEthereumのCocoへの統合にすでに着手するともに、Quorum、Hyperledge Sawtooh、Cordaへの統合に関して、JP Morgan Chase、Intel、R3とコミットメントを結んでいる。

MicrosoftはGitHubにテクニカルホワイトペーパを公開しており、2018年にはLinuxとWindowsのオープンプロジェクトとして、Cocoフレームワークのコードを公開する予定である。
 

 
 

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