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Microsoft 365とアプリケーション開発の未来 - Microsoft BUILD 2018 第2日基調講演

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原文(投稿日:2018/05/08)へのリンク

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Microsoftオペレーティングシステムグループのコーポレートバイスプレジデントを務めるJoe Belfiore氏が、Microsoft BUILDの2日目、Microsoft 365が未来のアプリケーション開発である、というテーマの基調講演を行った。

講演では、Microsoft 365におけるEnterprise Mobility ServicesとMicrosoft Office、Windows 10の統合に注目する一方で、その基盤となるMicrosoft Graph開発プラットフォームには、ユビキタスコンピューティングやデータとAIの統合といったより広範な用途があること、マルチセンスでマルチデバイスなエクスペリエンスがさらに身近なものになること、などを強調していた。Microsoft Graphはクラウドベースのデータストアであり、アプリケーションはこのグラフに対して論理的処理を行なうことができる。

基調講演は、仕事の本質的な進化に伴う組織の効率化を実現する手段として、Microsoft 365プラットフォームを開発する4つの“チャプタ”を中心に進められた。これにはユーザがマウスやキーボードやインク、さらには仮想現実ディスプレイを用いて、複数のデバイス間を移動しながらひとつの問題ないしタスクに対処できるような、マルチセンスなエクスペリエンスを取り入れる必要がある。

第1のチャプタは、デバイス間での生産性改善を達成するためのものだ。

有償アカウントによるWindows 10の採用率は、前年比で約79パーセントの伸びを示している。これは、他のデバイスと連携可能な、より優れたデスクトップの構築が可能になったことによるものだ。4月のWindows 10アップデートにより、PC上のTimelineがクリックひとつで他のデバイスでも使えるようになった。iPhoneで作業を行なうと、そのアクティビティデータがMicrosoft Grapに格納されるという、クロスデバイスなエクスペリエンスが実現したのだ。デスクトップに向かえば、完了した作業を確認することができる。

独自のユーザアプリケーションをMicrosoft Graphに含めるような記述も可能だ。

近く提供されるインサイダビルドでは、Microsoft Graphからの推論によって、Cortanaが作業習慣に基づいた提案を行なうことが可能になる。

Microsoft Launcherを使用すれば、Android上に独自の環境を構築することも可能だ。

TimelineはAndroidとiPhone両方に用意されており、すべてのデバイスのすべてのアクティビティに対して、ワンクリックでアクセスすることができる。

Windowsの将来のリリースでは、スマートフォンで見る必要のない重要なワークロードからは、スマートフォンを除外することも可能になる予定だ。例えば、面倒な電話よりもデスクトップでテキストメッセージを受信したい場合は、電話ではなく、キーボードをタイプしてテキストに返信することができる。電話への通知をパーソナルコンピュータで受けることも可能だ。

Microsoft GraphでPCから情報を取得する場合はIDが使用されるので、ユーザによる完全な管理が可能であるとともに、この機能を有効にも無効にもすることができる。データがクラウドと同期されることはなく、スマートフォンあるいはパーソナルコンピュータ上に残る。

インサイダビルドにはSetがある。SetはアプリやWebページ、ドキュメント、ファイルなど、あるタスクのすべての要素をまとめて保持するためのものだ。時間が経った後で作業を再開する時には、関連するすべての要素を復元することができる。関連する情報すべてを対象とした検索の実行も可能だ。TimelineがSetに関連付けられるようにMicrosoft Graphが作業内容を記憶しているため、アプリケーションはデータを復元することができる。

カスタマアプリケーションがアプリケーションにSetを組み込んでいる場合、それも復元することができる。SetはMicrosoftが妥当だと判断した時点で提供される予定であり、リリースタイムに関するコミットメントは行わない、とBelfore氏は強調していた。

第2のチャプタでは、マルチデバイスのシナリオを実現し、Windows 10をあらゆる環境のための最高の開発プラットフォームにすることを目標としている。

昨年発表されたFluentデザインシステムは、複数のデバイスと複数のセンスに対してアプリケーションを修正する方法を理解するための、コミュニティ主導の取り組みである。

Windowsプラットフォームにも改善が加えられている。Unified Windows Platform (UWP) が分離されて、さまざまなコードベースで利用できるようになった。Fluentエクスペリエンスを既存アプリで利用することも可能だ。ホストコントロールを備えたUWP XAML Islandは、WPFやWindows Forms、ネイティブなWin32で使用できる。UWPコントロールは任意のユーザインターフェースにドロップ可能だ。すべてのWinodwsアプリケーションが、ユーザインターフェースに関わらず、Fluentデザインシステムにアクセスできる。

インク分析(Ink analysis)がCognitive Servicesに追加され、任意のアプリケーションから利用可能になった。

Microsoft Wordの文法チェックにMachine Learningが導入され、任意の文章中の適切な前置詞の使用など、微妙な文法誤りを検出できるようになった。

Windows UIライブラリがNuGet経由で入手可能になった。プラットフォームに同梱され、製品で使用されるものと同じコントロールが含まれており、Windows 10 Anniversaryアップデート以降であればすぐに利用できる。

.NETアップデートがWindowsプラットフォームアップデートから分離された。 .NET Core 3以降については、オペレーティングシステムをアップデートしなくても、複数の.NET Coreバージョンを同時に実行することができる。この機能は今年後半に提供される予定だ。

MSIXは、すべてのプラットフォーム用に安全なインストールパッケージを作成可能な次世代のWindowsインストーラで、エンタープライズストアやMicrosoftストアによる配信もサポートする。Windows 7でも利用可能だ。

心からの拍手を送りたいものとして、Windows NotepadでLinuxのラインフィードがサポートされる、という発表があった。

Android EmulatorとHyper-Vの共存が可能になった。

Microsoftは現在、コミュニティと協力して、BoxstarterとChocolatey用の新たなセットアップスクリプトのリリースに向けた開発を行なっている。

Windowsストアが変更され、アプリのトラッキングが改善された。収益モデルが変更され、コンシューマアプリ(ゲームを除く)については、収益の85パーセントが開発者に配分されるようになった。開発者のサイト経由で購入者がストアに来た場合は、95パーセントになる。

第3のチャプタは、アプリの価値はエンドユーザのコラボレーションやコミュニケーションに存在する、という考え方だ。現在、13,500万人がOffice 365を、20万の組織がMicrosoft Teamを使用している。

ビジネスロジックやサービスをOfficeに統合することが可能になる。 例えば、独自の減価償却関数などを、ネイティブなExcel関数と同じように機能する関数として記述することができる。

オープンフォーマットのアダプティブカードは、Outlookに入れることで実行可能になる。例えばGitHubから通知を受け取った場合、Outlookを離れることなくそれを処理できる。アダプティブカードを使って、OutlookからMicrosoft Payを呼び出して支払をすることも可能だ。

81の市場で20万の組織が使用するMicrosoft Teamsは、アプリケーションとデータを会話の流れに入れて、セキュリティとコンプライアンスを構築することができる。これもMicrosoft Graph上に構築されている。

Teamタブには任意のアプリケーションを追加できる。ボットやメッセージエクステンション、アダプティブカード、アプリ、データをチームやトピックで整理された永続的なチャットに加えることが可能だ。

最後のチャプタはMicrosoft Graphだ。Graphは、Graph APIに対してHTTPリクエストの可能な任意のデバイスを、データとインテリジェンスに接続する。データ間の関係はグラフとして表現される。クラウドにホストされているデータは、ユーザないし組織によって所有および管理される。

Microsoft Graphによって、Microsoft 365では、例えばシングルサインオン、同じビジネスデータを全体で共用する、Microsoft Teamsから会話を統合する、Outlookからカレンダイベントを統合する、Windowsからのデバイスを越えたエクスペリエンスの実現、といったことが可能になっている。

ユーザアプリケーションは、グラフの一部とすることにより、Microsoftや他のユーザのアプリケーションと深く結合することができる。新たにUniversal Windows Platform(UWP)グラフコントロールが、オープンソースとして提供されている。

最終的にMicrosoft Graph開発プラットフォームは、単なるアプリケーション間のスイッチから、ユーザの作業するコンテキストにおける問題解決の実現へと、その重点を移そうとしている。

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