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Stack Overflowをもっと友好的な場所に

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原文(投稿日:2018/04/30)へのリンク

読者の皆様へ: 皆様のご要望にお応えするべく、ノイズを削減する機能セットを開発しました。皆様が関心をお持ちのトピックを、EメールとWeb通知で受け取ることができます。新機能をぜひお試しください。

Stack Overflowで“Culture and Experience”を担当するEVPのJay Hanlon氏が、“Stack Overflow Isn’t Very Welcoming”と題したブログ記事を投稿した。変えるのは今だ、と呼びかけるその記事では、Stack Overflowを閉鎖的で脅迫的な場所にしている問題を取り上げている。記事の中で氏は、この問題に取り組むというコミットメントについて説明した上で、その目的のために氏らが行なっているステップを解説すると同時に、読者に対して、自分自身のエクスペリエンスを率直にフィードバックするアンケートへの参加を呼びかけている。
Stack Overflowに始めて参加した人の多くは、言葉足らずの質問や“低レベルな質問を招く”ような質問への回答に対して、知らないことを知らないが故に攻撃されるような、閉鎖的で威圧的な場所としてStack Overflowを体験をしている、と氏は言う。
氏の話題は、自身が“忌まわしい事実(ugly truth)”と呼ぶものから始まっている。

  • 多くの人たち、特に経験の浅いコーダや女性、有色人種、その他の疎外されたグループに属する人たちが、Stack Overflowで敵対的ないしエリート主義的な体験をしている。
  • 当社の社員やコミュニティでは、かねてからこの問題に注目していた。しかい近年は、この問題を公然と話題にすることや、あるいは適切な優先順位で対応することが難しくなり、結果として予想以上の悪化を招いている。

氏はこの問題の所在を知りながら、これまで看過してきた点を認めている。Stack Overflowは現在、この問題を重要なものと受け止めており、その対処に時間と資金、人材を投入して、真の問題の所在を知るためのユーザ調査を実施し、サイトの規範を取り戻そうとしている。明確な変更点として、氏は次のものを挙げている。

  • “くだらないことを聞くな(don’t be an asshole)”から“歓迎する”に変わろう
  • コメントに対して何かをしよう — もはや皮肉と卑下には耐えられない
  • 新しいユーザが参加できるようにしよう
  • ユーザの知識のなさを判断するのは止めよう(ここはQ&Aサイトなのだから!)
  • 質と親切さとの間の誤った二分法を拒否しよう

氏はサイトの行動規範を引用し、多くの人たちがその存在を知らないことを認めた上で、この状況を変えて、行動規範が目に付くようにし、サイトユーザの行動に対して積極的に適用させたいと考えている。
記事の最後に氏は、次のような行動を呼びかけている。

チャットを通じて自らの体験を共有し、最初に着手すべきことを判断する手助けをしてくれるボランティアを募集しています。アクティブなユーザも、参加を躊躇している人も、こちらにある一分間のアンケートにご協力をお願いします。

このような文化面での問題や、ハイテク文化一般の問題への対処を模索しているのは、何もStack Overflowに限ったことではない。

2017年11月、Reid Hoffman氏は、ハイテク業界における労働者の不平等やセクシャルハラスメントや差別を克服し、その文化を変えることの必要性について語った。EmTech MIT 2017カンファレンスでの氏の講演は、こちらで見ることができる。

Microsoftの研究者であるDanah Boyd氏は、“Tech Culture Can Change ”と題したMediumの記事で、次のように述べている。

体系的セクシズム(systemic sexism)の根本的な問題点は、それが個人の問題ではないということです。問題なのは文化なのです。

女性としての立場と自身の経験から、氏は性差別について説明している。それによると、

多くの女性たちが心から望む変革が現実になれば、と願います。ハイテク産業はその根本が理想主義的かつ夢想的であり、世界を変えるようなイノベーションを心に描いています。しかし、こと自己再帰性(self-reflexivity)に関しては、テクノロジ産業は他の多くの男性中心的な分野と同じような後進性を見せています。その一方で、テクノロジが世界をよりよく変えるという広く認知されたコミットメントが、それ自体が現実離れした理想論であるとはいえ、少なからぬ部分でこのような傾向が高くなる原因であることは十分に理解できます。

氏はテクノロジ分野の男性に望む4つのことを指摘している — 認識(Recognition)、懺悔(Repentance)、敬意(Respect)、償い(Reparation)である。

認識。 すべての人たち — 男性にも女性にも — に対して、性差別の文化に加担することが、私たちを不健全な方向へ導くものであることを理解して頂きたいと思います。それはテクノロジの分野で女性が冷遇されるだけでなく、イノベーションの価値を損ない、社会に危害を及ぼすテクノロジを想像する可能性にもつながるのです。
懺悔。テクノロジ分野の男性 — 特に雇用機会を掌握する創業者や投資家 — に対して、一度、自身の成功の道程において傷つけてきた人々を振り返って、積極的、意図的、自発的に謝罪し、許しを乞うことを考えて頂きたいと思います。不適切な発言をした、人生において困難を与えたすべての人たちに対して、“申し訳なかった”と言ってほしいのです。
敬意。 競争の文化と並んで、尊敬の文化が積極的に育まれ、称賛されることを望んでいます。敬意には、他人の苦労を認め、互いの長所と短所を理解し、困難な時間を通じて互いに助け合うことが必要です。
償い。 テクノロジの繁栄を願うのであれば、それが女性や有色人種に対する積極的な採用と指導、支援、資金提供、門戸の開放、その他の権限委譲によってもたらされるものであることを認知して頂きたいと思います。

記事の最後に氏は、次のように強く呼びかけている。

規範の変革こそが唯一の方法であると、私は強く信じています。その責任はすべての人たちにありますが、私は特に、業界としての行動変革の奨励と支援が必要だと思っています。最終的に、性差別という組織的な問題は、悪い人々を排除することで解決するものではありませんが、許されざる行為を永久的に受け入れられないものにすることは可能です。
 

 
 

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