昨年11月のAWS re:Inventで初めて発表されたAmazon Personalizeが、すべてのAWSユーザを対象に一般公開された。このサービスを使用すれば、マシンラーニングの経験がなくても、パーソナライズされたプロダクトレコメンデーション、検索結果、ダイレクトマーケティングなどのモデルを含む、独自のマシンラーニングモデルをアプリケーションに加えられるようになる。
Amazon Personalizeは、必要なインフラストラクチャをプロビジョニングすることによって、独自のマシンラーニングモデルをトレーニング、チューニング、デプロイする、AWSのフルマネージドサービスだ。データ処理、特徴抽出、アルゴリズムのトレーニングと最適化、ホスティングなどを処理してくれる。AmazonでAI/MLの開発に携わるNick Walsh氏は、Twitterで次のように述べている。
レコメンデーションシステムを構築して、あなたのアプリケーションで活用しましょう。面倒な作業はすべてPersonalizeが行ってくれます。
Amazon Personalizeを使用するユーザは、そのAPIの背後に存在する、パーソナライズされた購入エクスペリエンスから製品検索、チェックアウトに至るまで、20年以上のデータに基づいてAmazonが構築し完成させた、マシンラーニングモデルを活用することが可能になる。開発者は、APIの呼び出しひとつで、Amazon Personalizeによって処理および検査されたデータをストリームすることができる — 取得したデータをもとに、意味のあるものを識別し、適切なアルゴリズムを選択し、データ用にカスタマイズされたパーソナライゼーションモデルのトレーニングや最適化を行うことが可能だ。開発者がストリームするデータにはプライバシが保たれており、ユーザが完全に所有している点も注目に値する。
引用元: https://aws.amazon.com/personalize/
Yamaha Corporation of America、Subway、Zola、Dominoなど、さまざまなAWSユーザがすでにAmazon Personalizeを自社アプリケーションに組み入れている。Subwayの暫定最高情報責任者であるNeville Hamilton氏は、Business Wireの記事で次のように述べている。
Amazon Personalizeを使用することで、忙しいゲストのライフスタイルそれぞれに合わせてパーソナライズされたレコメンデーションを、材料やフレーバの数限りない組み合わせの中から素早く提供することができます。Amazon Personalizeでは、マシンラーニングの専門知識を必要とせずに、シンプルなAPI呼び出しを使用して推奨事項をキュレートすることが可能になります。
PersonalizeがGAリリースされたことで、Amazonは、MLベースのサービスポートフォリオをさらに強化し、クラウドベース技術の急成長に乗って急速に拡大するマシンラーニング・アズ・ア・サービス(MLaaS)市場において、自らの地位を築きつつある。MicrosoftやGoogleなどの他のパブリッククラウドベンダも、 Azure Machine LearningやGoogle Cloud AIとして、MLaaSサービスをユーザに提供している。
Amazon Personalizeは、米国東部(オハイオ)、米国東部(バージニア北部)、米国西部(オレゴン)、アジア太平洋(東京)、アジア太平洋(シンガポール)、およびEU(アイルランド)地域で間もなく使用可能になる。価格は次のとおりだ。
- Amazon Personalizeにアップロードされたデータ、5セント/1GB
- データを使用したカスタムモデルのトレーニングに使用されるトレーニング時間、24セント/1時間
リアルタイムのレコメンデーションリクエストについては、アップロード数に基づいて価格が設定されており、大量オーダにはディスカウントもある。詳細については価格のページを参照してほしい。