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Agile2008チーム参加レポート - 帰国そして変化

| 作者 懸田 剛 フォローする 0 人のフォロワー 投稿日 2008年12月2日. 推定読書時間: 7 分 |

前回までのあらすじ

Agileカンファレンスに「参加者としてだけでなく、発表者として参加しよう」を掲げたチームgoyattomは、サブミッションを提出し、7つのセッションが日本から選択されました。参加者はカンファレンスで各々の発表や、各セッションへの参加、諸外国のエンジニアとの出会い、ステージ上でDearXPを熱演などの様々な思い出を抱えて、無事日本に戻ってきました。

チーム参加について

我々は、チームを組んでカンファレンスに参加しましたが、結果的には様々な面でよかったと考えています。まず最大の利点は、準備段階からカンファレンス期間中も含めて、情報交換をしながら進めることができるという点です。準備段階では様々な手配のような作業から、プログラムの内容を情報交換ができました。また会期中は、自分が参加できないセッションについての情報を交換しあったり、休憩や食事中に議論をして理解を深めあいました。日々の参加後のうちあげや、ふりかえりといったイベントもチーム参加の際の醍醐味かもしれません。

また宿泊費などはルームチャージのため、複数人で割カンすることで安く上げることができました。これは会社からの費用でいかずに個人で参加を目指す人にはぴったりです。

今回は、チームとしての活動は最低限にして、朝食前の朝会、一日の終りの夕会はできれば来てほしいが強制にはせず、DearXPの練習は皆でやりましょう、といった程度で、後は集りたい時に、個人ベースで連絡を取り合って集る程度のゆるさを保ちました。そんな中、DearXPというチームとしてのイベントがあったお陰で、全員でひとつのことを遣り遂げたという感が増しました。感動や楽しいことは、1人よりも大勢の方がより増幅されるのです。

そして筆者にとって最も重要だったのは、まったくの初めての経験で、1人だったら途中で挫折したかもしれなかった状況を、 チーム参加 という形式が一変させてくれた、ということです。ふりかえってみると、チームという存在は、今回の成果を生みだすためには必然だったという事実に気づくのです。

参加・発表したことによる成果

今回、 平鍋氏が、受賞した「Gordon Pask Award」は、受賞者に対して一年間に二回、別々の大陸でのカンファンレスへの参加をAgile Allianceがサポートしてくれるという特典があります。平鍋氏には、こちらの世界ツアーも期待されています。また平鍋氏のAgile2008における発表は、Agile2008の注目されるプレゼンテーションとして、InfoQにも掲載されています。 [1]

また、他の発表者に対しても反響がありました。まずSlideShareにアップロードされているAgile2008に関するスライドのうち、日本人のUPしたスライドがViews、Downloadsの上位を占めていることに注目しましょう。特に 永和システムマネジメントの木下氏 [2] の発表スライド [3] は、他のスライドと比べると特に多くダウンロードされています。このスライドは、国内のイベントでは何度か発表されているものですが、英語では初の発表になり、かつ経験論文としても納められました。

このスライドがこれほどまでにダウンロードされた理由は、 そこに国を越える本当の共感 を得たからではないでしょうか。よく「日本人は体系化が苦手」と言われます。筆者もその点は同意しますが、逆に「体系化せずとも、自分達の経験を正直に発表することはできる」のも事実です。そしてその発表は、国を越えて人々に多くの感動、気づきをもたらすことができるのです。木下氏の発表は、世界的なカンファレンスに参加した時に、まず「自分に何を伝えることができるのか」の指針を示してくれたと言えるでしょう。

また、筆者がAgile2008で発表した「Tangible Bug Tracking Using LEGO Bricks」(バグレゴ)の内容が、先日 InfoQ.comで言及されました。 [4] 前述の記事は「レゴブロックはもやは子供のためだけのものではない」という趣旨の内容でしたが、他のレゴブロックを使った時間管理のプラクティスと一緒にバグレゴが紹介されました。国内では何度も発表したり、Web上に資料を公開していましたが、英語にしてAgile2008という場で発表したからこそ、国外の人の目にとまり、注目されたのです。

プレスとしてAgile2008に参加した野口氏は、氏の出版しているフリーペーパー「EM-ZERO」 [5] を現地で多くのエンジニアにプレゼンし、実際に記事を寄稿してもらいました。「EM-ZERO」は世界に類を見ない、エンジニア向けのフリーペーパーで、配布は無料、そしてライターも無償で寄稿するという、100%情熱で生まれたメディアです。日本で生まれたこの新しいメディアを、海外に向けてプレゼンする野口氏の積極的な行動は、同行した参加者に大きな感動と勇気を与えました。

そして、発表はせずともカンファレンスに参加したメンバーについて見てみます。ほとんどの人が 持ち帰ったものを生かしたい次も参加したいもっと英語を磨いてコミュニケーションをしたい別の人に是非行ってほしい というモチベーションに溢れています。会社の出張扱いで参加したメンバーは、社内でAgile2008についての発表を行ったり、社内のアジャイルコミュニティを立ち上げたり、早くも来年のAgile2009への複数人での参加申請をしたりと、カンファレンスから帰ってきた後も積極的な活動を進めています。

まとめ

我々はAgile2008に参加し、8つのセッションで発表をし、最新のAgileの情報を手にし、カンファレンスの雰囲気を体感してきました。ここで得たものは、各セッションにおける最新情報、カンファンレスに参加したことによる気づき、そして次へ繋がるモチベーションです。

今回の参加をまとめると次のようになります。

  • Agileカンファレンスは世界規模のAgile開発コミュニティの集いである
  • 英語がうまくなくともメッセージは聴衆に届く
  • 体系化することに価値がある、しかし自分の経験を物語るのも価値がある
  • 英語で発表したからこそ、海外で知られることがある
  • 1人でいくよりもチームで参加する方が楽しい

コミュニティとは、そこに集る人の輪です。それぞれのコミュニティでは、その中で多くの情報や意見交換が活発にかわされます。日本国内にも様々な技術者のコミュニティがあります。そこに参加している人達は、コミュニティに参加することの嬉しさについては、よくおわかりでしょう。

会社、組織という枠の中で完結せずに、組織横断の外部のコミュニティに積極的に参加することで、大きく飛躍した人達を筆者は間近で見ています。Agileカンファレンスは、世界規模で、ソフトウェア開発をよりよくしようとする人達のコミュニティであり、人のつながりを生み出す存在なのだと改めて気づかされました。

Scrumやリーンに相当する日本からの発信にはまだまだ及びませんが、こういった活動をしていく中でいつか、ムーブメントの主流になるアイディアを発信できることを信じて先に進むことにします。

今年Agile2008に参加したメンバーが船頭となり、新しいメンバーを募集し、来年シカゴで開催予定の Agile2009に参加、発表するための準備をはじめました。 [6] これから月一でミーティングを実施して、互いの求めるところ、発表参加へのモチベーションを高めて、今年以上の成果を出すことを目標に活動していきます。興味のある方は、是非 5agileconf at gmail.com まで参加メールをください。

最後に、カンファレンスに共に参加してくれたチームの皆、そしてその間日本での業務を支えてくれた同僚、カンファレンス参加を応援してくれた上司、そして今回の参加を快く許可してくれた家族に、心からの感謝をして本稿を終えさせて頂きます。

著者について

(株)チェンジビジョン所属。

フリーランスエンジニア、教育、コンサルタントを経て、プロジェクトの見える化ツールTRICHORDの開発に携わる。Agileとの出会いは2000年 からで、eXtremeProgrammingとRubyが引きあわせてくれた。現在の興味対象は、持続可能な社会に本当に必要なシステム、ソフトウェア を、Agileでどう作りあげるかという点。

個人の日記は http://giantech.jp/blog/

 

[1] : http://www.infoq.com/presentations/Toyota-Kenji-Hiranabe
[2] : http://fkino.net/
[3] : http://www.slideshare.net/fkino/practices-of-an-agile-team-542565
[4] : http://www.infoq.com/jp/news/2008/09/lego-information-radiators
[5] : http://www.manaslink.com/emzero.html
[6] : http://mywiki.jp/goyattom/Agile2009/

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