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急拡大する組織におけるリーダシップとマネジメントの重要性

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原文(投稿日:2019/09/05)へのリンク

QCon New York 2019で、N26のチーフサイエンティストであるPatrick Kua氏が、スタートアップのフィンテック企業で優秀なチームを育成するための種蒔きと環境の肥沃化に関して、自らが学んだ教訓を公開した。最初の項目である"Cultivating High-Performing Teams in Hypergrowth"の中では、N26が過成長(hypergrowth)とチームの自律性をどのように扱っているか、ということが論じられている。今回の記事は、急成長企業において技術マネージャを管理する方法について説明する。

Kua氏がソフトウェアアーキテクトとして学んだことのひとつは、アーキテクチャレベルにおける選択の多くはトレードオフに関するものである、ということだ。これと同じことが、社会的および技術的な組織構造についても当てはまる、と氏は言う。

ハイパフォーマンスなチームを実現するには、技術の選択が重要だ。Kua氏は言う — "入社した頃は、'その人に向かって何をするかを指示するだけの対象なのに、学習する意思や問題解決意欲を持った聡明な人を雇う必要があるのだろうか'、と何度も自問したものです。"マネージャとして氏は、周囲の状況や、"良い"とはどういうものであるかの制約を設定することにより、最高の環境を作り上げようとしている。自らの知識によって最善の方法で問題を解決することを可能にする、優れたツールはそのひとつだ。

Kua氏はN26で、社内の技術リーダ開発プログラムも実践している。これには、既存の技術リーダやベテランに当たるメンバが参加している。チームをリードする上で必要なスキルの多くは、実際には極めて多様で、エンジニアが普段重視しているものとは直交している、と氏は言う。シニアソフトウェアエンジニアの多くが考える技術的リーダの役割は、おおよそ同じような役割(技術的な意思決定、大量のコード作成)だが、"私の著書である'Talking with Tech Leads'に書いたように、まったく違う役割である、とすぐに気付きます"、と氏は言う。

技術マネージャの管理、技術の選択、リーダーシップの成長について、Kua氏にインタビューした。

InfoQ: N26のManager of Manager(マネージャのマネージャ)は、どのような決定に責任を負っているのでしょうか?

Patrick Kua: Manager of Managerには、対立を起こさずにコラボレーションを可能にするチーム構造について考えるという責務があります。どのグループがどの製品に責任を持つのか、可能な限り自律的であると同時に、他のチームへの依存を最小限に抑えて作業を遂行できるようなチームです。これはManager of Managerの重要な責任です。Grace Hopperは、"物事を管理して、人々を導く"、と言いました。Manager of Managerは、システムコンテキストを管理して、メンバが必要とするものを可能にするために働きます — これは多くの場合、目的の明確化であり、明確な優先順序と意思決定プロセスの確立であり、チームがバランスの取れた方法で作業能力を計画できるようにすることです。急速に変化する環境において、何よりも難しいのは計画する側なのです!

InfoQ: 以前のCTOという役割を考えた時、N26で行ったテクノロジの選択が文化に、自分自身がどれほどの影響を与えたと思いますか?

Kua: 急速に成長する企業、急激に変化する業界において、特に興味深い課題のひとつが、ツールも常に変化している、という事実です。人それぞれ、好むツールは違います。そのためのテクニックのひとつとして、ツールを常に最新に保つと同時に、ツールのバリエーションを増やし過ぎないようにも努めています。エントロピー理論で説明すれば、組織が保持することのできるエントロピーの量と、すべての変更がエントロピーを増加させる可能性を考えた時、それが組織にオーバーロードを発生させる可能性がある、ということです。

エンジニアに優れたツールを提供して、ビジネス上の問題や顧客のニーズの解決に集中できるようにしたいと思っています。当行は極めて現代的な銀行です。実際に、皆さんがこれまで考えていたような銀行ではありません。金融業界で働くハイテク企業のようなものです。実運用環境に対して毎週数百回のデプロイメントを行っていますが、これは従来の銀行環境では前例のないことです。通常ならば、3か月毎にデプロイできればラッキーでしょう。これによって、チームにとって非常に優れたフィードバックループが可能になります。個人のアウトプットを顧客のニーズに結び付け、すぐに影響を与えるという、非常に強力なエンジニアリング文化を構築する上での一助となっているのです。

そこで明らかなのは、それに関わるツールが重要であることです。具体的な例として、当行では、最新のクラウドインフラストラクチャを使用して、インフラストラクチャをすべてコードとして構築しています。これによって、必要に応じて新しい環境やサービスを実際に立ち上げたり、即時にスケールアップしたりすることが可能になります。私たちには、非常に強力な継続的デリバリパイプラインと、継続的デリバリの文化があります。品質やセキュリティを前倒しして、すべてのチームが関与し、最初から組み込まれるようにするために、多くの努力を重ねてきました。これは同時に、これまでの銀行が頼ってきた人海戦術と、チェックリストやプロセスに頼ることを止める、という意味でもあります。そのような古い世界では、チェックリストでチェックした人たちをチェックするために、さらに多くの人手が必要になるという、負の強化ループに陥りやすく、結果的に不要な官僚主義をもたらすことになるのです。私たちはこれまで、自動化と、作業方法に品質とセキュリティを統合することに重点を置いてきました。当行のエンジニアは、フィードバックを極めて迅速に受け取ります。それがより多くのコンテキストを提供して、"速く失敗する"ことを助けるのです。本当に良いエンジニアリング文化を構築する上では、それが有効なのです。

InfoQ: リーダシップの向上という点でどうでしょうか?

Kua: 技術リーダ開発プログラムの中で、技術リーダの期待について語るためのコースを設定しています。そこでは、さまざまな目標について検討すると同時に、それらの目標を達成するためのツールを提供しています。さらに、このプログラムでは、同じような役割を持つ人々のコミュニティを形成しています。コミュニティでは、お互いが手を差し伸べ合うことで、極めて困難な状況に対処する場合に支援を求めることができます。

これについて考えてくれそうな既存の技術リーダあるいはシニアエンジニアを、レビューサイクルの一部として選任しています。この役割が自分に適しているかを検討し、この役割を効果的に満たすために必要なスキルや経験について振り返るための機会を提供するのです。

私は度々、キャリア開発のトライデントモデル — 技術的リーダーシップ、個人貢献(IC)、管理 — について話しています。コース全体を通じて、ICの作業を重視しがちな人たち(シニアエンジニアなど)に対して、もっと広いレベル(技術的リーダの役割など)での技術的リーダシップに必要なスキルをより重視するように、考え方をシフトさせることに重点を置いています。

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